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日米中はジャンケンの関係がよい
平成22年8月30日

このメッセージはテキストのみとなります。

 12年ほど前、私は自民党幹事長として訪米、ワシントンのナショナル・プレス・クラブで講演した。テーマは確か「日中関係とアジア」だったと思う。多くの質問が投げられたが、その応答の中で私は「アジア地域の政治的安定のためには、日米中の三カ国が、正三角形の鼎立の状況になっているのがよい」と発言した。講演後、そばにいた斉藤邦彦駐米大使が「あの三角形発言は、問題になるかもしれないです」と心配そうにつぶやいたのを思い出す。
 案の定、帰国後、岡崎久彦氏など保守派論客から噛みつかれた。いわく「日米は軍事的同盟関係。日中はイデオロギーが違う。防衛庁長官をやった政治家が、そんなイロハのイさえも認識していないのか!」。そんなことは解っていると思いつつ、黙っていた。そんなことじゃない。地政学的関係、経済的密接性、文化的な近さなど、総合的に判断すべきことなのだ。
 それから10年余り。日米中の三角関係論はいまや、普遍的に論じられるようになり、市民権を得ている。

 今年の夏休みに、私は10人の自民党の同僚議員と一緒に上海万博の見学に行き、その後北京を訪れた。唐家セン前国務委員、武大偉六者会談議長の他に、劉中国共産党中央対外連絡部副部長と会ったとき、この三角形論が話題になった。私は「日米中がジャンケンポンの形になればいい。どの国もカンタンに勝たない関係」と言って、はて、通訳者が訳せるか、中国にジャンケンがあったかなぁ、と心配したが、「石、ハサミ、布」と、なんとなく訳していた。あとで中国側スタッフに聞いたら、「中国でも田舎では通じないかもしれないが、北京など大都市周辺では、まぁまぁわかりますよ」とのこと。「パー」は、紙ではなく布なのだそうだ。
 それはともかく、最近米中関係がギクシャクしている。南シナ海の南沙諸島問題、米韓合同軍事演習などをめぐって、クリントン国務長官と戴秉国国務委員がテーブルを叩いて非難しあったという。戴氏とは私も親しいが、彼は前任者の唐家センと異なり、極めて温厚な人物。本当だとすれば、考えられないシーンだ。やはり、日本が力を落として米中二国関係だけになると、揉め事は多くなる。ジャンケンはやはり「石、ハサミ、布」どれが欠けてもいけない。二国関係になれば、すぐ勝負が決まる。これはよくない。
 そういえば、帰り際に劉氏がいたずらっぽく私に小声でささやいた。「ジャンケンで日本は何ですか? 石? ハサミ? 布?」

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