農村地帯の雰囲気が少しずつ変わり始めたような気がします。きっかけは、7月27日に発表された「日米FTA協定を締結する」という民主党のマニフェスト。これは、8月8日になって、民主党は「締結」という文言を「促進」に変更しています。
一昨年の選挙で民主党が打ち出した「戸別所得補償法案」は、民主党に向けて大きな温かい風を吹かせたと言われています。私の選挙区でも、確かに民主党に風が吹いていました。
いったい何をするのかは、いまだに皆目見当がつかないけれど、1軒1軒面倒を見るというイメージは、耕作面積4町以下の兼業農家に大きな刺激を与えました。「よくわからないが、とにかく我々の方に目を向けてくれた」という人が多かった。
しかし、最近、いろいろな議論をすると、コメ生産の国内自由化を行って1俵6000円まで米価を下げたら、最後まで生き残っていくのは地方公務員をやりながら8反とか1町1反のコメ作りをしている二種兼業農家の人ではないか、という意見が出始めています。そして、15町といった大きな農地をもつ本格的農家が最初にダメになるのではないかといわれていて、農家の間にも戸惑いが出ていました。しかし、「ともかく民主党に一回やらせてみるのもおもしろいのではないか」という雰囲気があったように思います。
ところが、今回、FTA協定でアメリカの農作物がさらに入ってくることを容認するイメージが生まれて、農村部では「民主は何をやっているのだろう」という思いが出てきています。さらに、それに輪をかけたのが、民主党のマニフェスト修正記者会見です。菅直人氏や農政担当の平野達男参議院議員は、それなりの説明を試みていたが、その直後の鳩山代表が述べたことには私も驚きました。
それは、8月8日の北海道における記者会見で、「(日米FTAは)戸別所得補償が制度として担保されれば認められていい話だが、現在の農政の情勢では簡単ではない」と明確に述べたことです。これは、いうなれば「頭隠して尻隠さず」。民主党の真意がコメの輸入自由化を最終目標としていることを証明しています。また、小沢一郎氏は鹿児島で記者会見をして「農協が一方的にいろいろ言っているけれど」という前置きの後、「自由化によってコメの値段が下がっても、その差額を補償するのだから文句のない話だ」と述べたことを新聞が報道しています。
どうやら、鳩山・小沢両氏ともに、「農家は、お金を配れば文句は言わない」という発想があるようです。しかし、コメ作り農家が単にソロバン勘定だけでコメ作りをしているとなれば、公務員をやりながら自分の給料やボーナスから農機具代を出してまでコメ作りをする数多くの農家の行動は説明できません。
1961年にわが党は、農業基本法農政をスタートさせました。そのときは、都市部の工業を発展させて就業機会を多くつくれば、農村から労働力が流入して工業は発展し、コメ作りの規模拡大が自然にできると思っていました。ところが実際には、工業へ人口は移っていったけれど、農家は土地を決して手放さなかった。コメ作りの規模拡大はできなかったのです。この農家心理の読み違いによって、その後、コメは過剰に作られて、減反を余儀なくされました。先の二人の発言を聞くと、その最大の問題点をまだ理解していないように思います。
そして、マニフェスト修正記者会見どころか、既定方針記者会見のようなことをしたのが、鳩山・小沢両氏でした。
どうやら民主党内も農政については、バラバラのようです。そして、農民や農協のトラの尾を踏んでしまったような気がします。
民主党は、一昨年、戸別補償案で翔び、今年はFTAでつまずくのではないでしょうか。