先日、私の地元の農村地帯で、地域の中核的なリーダー200人ほどが集まる会に出席しました。この農村地帯は、今でこそ兼業農家が増えましたが、昔から優良な純「米作り地帯」と言われていた地区です。そこで私は農政報告をしました。その後、参加者の皆さんと一杯やりながら、いろいろと雑談をしました。
できるだけ多くの人と1対1で話しをしようと思っても、200人ともなるとなかなか難しいのですが、こういう会は刺激的です。この日はサミット直後ということもあり、アメリカにおけるバイオエタノールの生産やサブプライム問題などについて、非常に厳しい質問を向けられました。
この懇親会ではオードブルが出たのですが、昔の集会に比べれば豊かな内容で、ソーセージ、鶏の唐揚げ、イカリング、チーズ、ナッツ類、ミニサザエなどが皿に並んでいます。それを見ながら、参加者の青年が私に聞いてきました。
「代議士、5年後あなたがもう一度ここを訪れたとき、こんな食べものが出てくるだろうか?」
「じゃあ君たちは、何が最初に出てこなくなると思う?」
私が聞くと、一斉に指が向く先はイカリング。
「我々農家も大変だけど、漁師にとって燃油の高騰はキツイらしいなぁ」
と、モノの見方が客観的です。
「アメリカがサブプライムで銀行を助けるために、あれだけダブダブとゼニをつぎ込んじゃうから、余った金が原油と食料の投機にまわるワケですよね。アメリカ、やっぱりちょっと間違えてるんじゃないの?」
などと、こともなげに質問してきます。
この地区は、小選挙区時代にはいつも保守系と革新系が激しく争っていて、私も選挙がやりにくかった地域ではありましたが、それだけシビアに論争をしてきた地域だからこそ、難しい議論をする土壌があるのかもしれません。そうだとしても、国際情勢をここまで理解しながら迫ってくるというのは、やはり生活がかなり切迫してきているからでしょう。農業資材が上がり、農業経営を圧迫してくるから、やむにやまれずみなテレビや新聞で勉強している……。
そこで私は、こんなふうに話しました。
「日本でもバブル崩壊の直後に、こういう金融危機がありましたね。日本の場合は、危ない銀行に直接政府の金を貸したり、倒産防止のために多額の税金をつぎ込んだりしたのだが、これに対する国民の怒りはすごかった。当時、私は自民党の幹事長で、その余波でありとあらゆる攻撃を受けたものです。個人的なこともあげつらわれて、一番苦しかったときでした。でも、日本のように必要なところにピンポイントで集中的に金を供給すると、今のアメリカのようにだぶついた金を流すことはしなくて済みます。アメリカも日本のようにすればいいのですが、それができません。なぜなら、アメリカでは銀行の頭取は30〜50億円もの年収を取っているのに対し、日本ではぜいぜい1億円くらいでしょう。この社会主義的な日本の経営者に対してさえ、あれほど激しいアタックがきたのです。アメリカではなおさらのこと、『膨大な給料を取っている銀行経営者を税金で救うのか』と、それは強い反発があるわけです。民主、共和両党とも、大統領選挙が終わるまではとても公的資金の投入はできない。選挙が終わるまで待つしかないのです」
などと、かなり専門的な説明をしたのですが、みなさん、「ああ、そういうことなのか」「わかった、目からウロコだ」などと、よく理解してくれていました。
それだけ理解するということは、今、みんな厳しく政治の中身を見ているということなのでしょう。
9時半過ぎ、カエルが鳴き始めた田んぼの中の公民館を後にしました。軽い疲労感はあったものの、地元で直接話をすると、現場にいる生活者、経営者の実感というものがひしひしと伝わってきます。単に、「自由対民主」、「政界再編」、「変革」といったことを、うわずって声高に話していたのでは、どちらの政党も、そしてどの政治家も、あきれられる昨今なのではないでしょうか。