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チベット騒乱と五輪ボイコット
平成20年4月4日
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中国政府に対し、チベット自治区で僧侶や市民たちの抗議行動が激化しています。死傷者数が日に日に増えていくこの騒動に、ポーランドは北京五輪の開会式に出席しない意向を明らかにしました。フランスでも、サルコジ大統領がボイコットの可能性について「あらゆる選択肢がある」と語っています。今後、世界各国がどう反応するかが気になります。

この報道を聞くと、今から28年前の1980年に開催されたモスクワ・オリンピックのことを思い出します。開催直前の1979年12月、ソ連の軍隊がアフガニスタンに侵攻しました。これに対し、アメリカのカーター大統領がオリンピックボイコットの意志を表明し、西側諸国に同調を呼びかけました。フランス、イタリア、オーストラリア、オランダその他いくつかのヨーロッパの自由主義諸国は、アメリカの呼びかけには応じずに参加しました。イギリス政府は「ボイコットをする」といっていたのですが、実際にはオリンピック委員会が独力で選手団を派遣しました。それでも中国を含め、世界50カ国くらいが不参加となりました。

日本もマジメにボイコットをしました。当時は大平内閣で、私は官房副長官のときでした。官房長官の伊藤正義さんが、日本体育協会などの会議に出席して、ここは日米関係を考えてということを必死に説得していたのを覚えています。伊藤さんご自身は「政治をオリンピックに絡めてはいけない」という考えの人だったので、大変苦しい作業だったと思います。

そして、アスリートとしての最高の舞台であろうオリンピック出場を手にしていながら、断念せざるを得なかったマラソンの瀬古利彦選手や柔道の山下泰裕選手、当時はまだ小学生だった長崎宏子選手などの涙が思い出されます。

来る北京五輪があのときの再来にならないよう、中国政府にはぜひとも細心の注意を払って国際社会に恥じぬきちんとした対応をしてもらいたいと思います。

たとえ国同士がどんなにケンカをしていても、オリンピックのときだけは一堂に会するんだという「五輪の非政治化」が、オリンピックの原則です。それが崩れると、この日のために懸命に努力している選手の人々が悲嘆にくれることになる。もう決してそんなことになってほしくないと思っています。