原油が高騰しています。アメリカがここ2〜3年、農作物でエタノールガソリンを作るということを本気でやり始めたために、かなり大変なことが起きています。食用として作られていたトウモロコシやサトウキビの多くが、燃料用に消費されるようになりました。これに中国の人口増と所得増が加わって、さらに膨大な需要増が生まれてきているために、世界の食糧事情が大波乱という様相を呈しています。
その影響は、じわじわと皆さんのお財布に及びつつあります。3月10日には、製粉最大手の日清製粉が、業務用(つまり加工食品メーカー向けの)小麦粉を20%程度値上げすると発表しました。これに伴い、小麦粉を使うパンやめん、菓子メーカーも価格値上げの検討をしているようです。
ここでちょっと、考えてみてください。トウモロコシや小麦80calを豚に食べさせると、10calの豚肉になって、私たちの食卓に届きます。トウモロコシをそのまま食材として人間が食べれば、80calのエネルギーになるわけですから、食料効率としては非常にムダですが、豚肉という美味しい食材になって返ってくる、よく考えてみると贅沢な食べ方なワケです。
そして、どの国でも、所得が上がるとそういう贅沢をするようになります。
今から40年前、日本はまだ貧しく、庶民にとって牛肉や豚肉は1カ月に1回食べられれば十分な存在で、トウモロコシは基本的にトウモロコシとして食べていました。ところが今や、日本人のほとんどが毎日のように肉を食べ、子供の弁当箱のご飯の面積は当時の4分の1くらいになっています。
今、中国でそれが起こり始めました。13億という巨大な人口のために、世界の食料庫からやたらと食料を買い始めました。それが世界の食糧の需給バランスや、国際取引価格に大きな影響を与えているのです。
そのような国際情勢の変化を背景にしていますから、今度の値上がりもやむを得ないことでしょう。皆さんには、「必要な値上げは消費者に来るのだ」ということも理解してほしいと思いますが、その一方、パンの中で小麦粉の値段が占める割合は約1割に過ぎません。便乗値上げは、しっかりと監視していきましょう。
世界のエネルギー事情、中国の事情に思いを馳せながら、トーストをかじってほしいと思います。