自民党の中に、新しい血が入ってきました。そのもっとも象徴的な人が、福島県から去年の夏の参議院選挙で選出されてきた森まさこ議員でしょう。
弁護士出身、43歳。中学時代にお父上が借金の保証人になったことがアダとなって破産し、それ以降借金取り立てなどの辛酸をなめた家庭に育ったそうです。いかに町金の取り立てが厳しいものであるかを知る被害者の一員として、将来弁護士になってそういう人たちを助ける仕事で頑張りたいという願いのもと、奨学金で大学に進学し、見事弁護士になった苦労人です。ご主人も同業の弁護士で、その理解もあり開業後しばらくして金融庁総務企画局で活躍、グレーゾーン金利問題について全力を挙げていたところで、当時副政務官であった後藤田正純さんと知り合い、意気投合して彼のふところ刀として働くようになりました。その当時に後藤田さんから森さんのことを紹介され、私なりに応援をしてきたつもりです。そのご縁から、最近もよくお付き合いしていました。
さて今、消費者庁を立ち上げることについての検討が進んでいます。12日には『消費者行政推進会議』の初会合を首相官邸で開き、消費者行政を一元化する新組織の具体案の検討を始めました。複数の府省にまたがる権限を束ねた「消費者庁」の創設も視野に、5月までに報告書をまとめることになっています。
政府に対して消費者問題を強く意識させる契機をつくった自民党の『消費者問題調査会』をひっぱってきたのは、会長の野田聖子氏、事務局長の後藤田正純氏、そして森まさこ氏ら。彼らは「これからは、消費者問題にも感心を持つ自民党でなければ、党の将来はない」と言って働いています。
やはり自民党が、ともすれば生産者側に立つ政党であったことは否めません。私がまだ1年生議員だった頃、衆議院に『物価問題特別委員会』という強烈なインフレ監視役の委員会がありました。当時は通称『物特(ブットク)』と呼ばれていました。しかし、自民党内では、どちらかというと感心が薄い委員会だったでしょう。対する一般消費者側、特に主婦連などは、野党側委員を通じてこのブットクで自分たちの声を拡げようとするのに精一杯でした。公聴会を開くと、自民党側参考人は経団連、対する野党(社会党)側参考人には主婦連のリーダーがやって来て、自民党の委員を冷ややかな目で見る、というのがお決まりの構図でした。
それから30年の時が経ち、今や野田聖子さんを委員長とする消費者問題調査会ができ、私も顧問になりました。先日、調査会に行ってみて驚きました。かつてブットクで野党側にいた主婦連の会長以下、多数の消費者団体の代表がにこやかに党本部に集まっているのですから。思わず「あのとき、あなたたちは野党側にいましたね」と言ったら、みなさんケラケラと笑って「はい、あちら側でした」と応える、明るい会議でした。
つくづく、我が党も変わりました。