1月下旬のガソリン国会攻防第一幕は、激突かと思ったら突然双方が折れて「まったく政治は分かりにくい、誰のどんな思惑でこんな展開になったのか?」と、国民の皆さんも腑に落ちないところがあるのではないでしょうか。
一方の国会議員にしても、国会で野党と激突して、怒鳴り合うことをさせられた後なものだから、スッキリしない人間はたくさんいます。しかしその実、両方とも内心はほっとしたところがある。だから分かりにくいのでしょう。
「国の税収が50兆円しかない今日、3兆円もの税減収になる決断はできない」と自民が主張する。「それでは道路ができなくなる、特に地方の財政に大きく穴があく」と考える知事たちが、真っ青になって民主党の議員たちに捻り込んでいく。自民党が押して押しまくったこの場面は、自民党の一勝でしょう。
対して民主党は「ガソリン値下げ隊」を編成してデモをする。ビラを配る。個人的には「品がないな」と思いつつ、1回の給油40リッター前後で1000円安くなるなら、確かに世論にはアピールするだろうなと思いました。民主のアピールの勝ちになる可能性もアリでした。
しかし、自民・民主の双方とも、どうしても選挙が気になるわけです。そして最終的にはどちらも及び腰になって、「大激突は止めよう」というところに落ち着きました。
ところがこれから先、国会での議論は本質論に入っていきます。そこで議論されるのは、やはりガソリンの値段です。実は、日本のガソリンは世界先進国の中ではアメリカに次いで安いのです。日本は今、155円(うち税金が61円)。最も安いアメリカ96円(税12円)です。一番高いのがイギリスで225円(税149円)、次いでドイツの223円(税142円)、フランス212円(税133円)。
つまり、ヨーロッパではだいたい220〜230円という価格設定で、うち税金が140円というのが相場です。これには、「できるだけガソリンを使うな」という罰則的な重価税を設定しているという側面があります。地球温暖化を防止するために、なるべく自動車を使わないようにということです。日本はこんな狭い国なのに、値段を安くして一生懸命使ってもらっている、とも言えます。
その国が、次回のサミットのホスト国です。「日本も重課税にして、一生懸命CO2対策をやっています」とアピールするべき局面を前にして、選挙の票集めのためにビラ騒動まで起こす民主党──というか、小沢一郎氏の政治の愚劣さが際だちます。民主党の面々も洞爺湖サミットが近づくにつれて、「ガソリン値下げ隊」をやったことを思い出し、赤面したくなることでしょう。
こんな調子ですから、3月〜4月の解散はありません。また、もし仮に値下げが実行されていたら、日本は“一流国”とはいえないと思います。