〜内田秘書(29歳) 格闘の日々〜(第2回)
大いなる前進!?
翌月(平成17年3月下旬)のとある午後、経産省の国会担当氏と課長補佐が、先方から議員会館に訪ねてこられた。先日のやりとりを受けて、『携帯電話の充電器について』という資料を渡しにいらしたのだ。
私に差し出されたのは、表紙つきの4ページ。内容は、
1ページ目:現時点での市場状況
2ページ目:検討の枠組み
3ページ目:参考資料・携帯電話シェア(2003年)
というものであった。実にシンプルな箇条書きで、1ページ目には、ドコモ、au、ボーダフォンの共通ACアダプタの有無について、さらっとまとめられていた。
(う〜ん、こんなことは分かっているのだがなぁ……)と思いながらページをめくったところで、次の文字が目に飛び込む。
「合同検討会(仮称)の設立」
なんでも、キャリアとベンダーが一体となって取り組む体制を作るため、電気通信事業者協会と、情報通信ネットワーク産業協会が共同で検討会を設置する方向で検討が進んでいるという。
スケジュールとしては、メンバーの選定を5月中旬までに行い、5月下旬には活動開始とある! これはすごい、やっと重い腰を上げたということか。
「これは前進ですね」と僕が言うと、課長補佐が
「それともうひとつの案として、現在ユニバーサルデザインの基準を作成している最中なんです。その中に組み込むことも考えられるかな、とも思っているんですがね」
と言う。
「えっ、それじゃ話が違ってしまうんじゃないですか?」と僕。だって、“ユニバーサルデザイン”とは、国や年齢、身体的能力に関係なく、誰もが使いやすいデザインということだ。たとえば、高齢者でも空けやすいビンのふたとか、キーが大きくて打ちやすい携帯電話とか、そういう問題でしょう?
「いや、海外メーカーが入っているボーダフォンなどは、日本国内のデファクトに合わせることは難しいのです。ですので、どちらにしたほうがいいか検討して、これから詰めていきます」
……どうも分からない。日本のデファクトを作るのが難しいという話に、なぜユニバーサルデザインが関わってくるのだろうか。
とにかく、その日は資料を受け取り、おふたりはお帰りになった。
一歩進んで二歩下がる
それから数日して、今度はなんと課長補佐と“課長”がブリーフィングに来られるという。それならと、こちらも私だけでなく、加藤代議士にも同席していただくことにした。
どのような進展があったのかと期待していたのだが、どっこい課長の話は“後退”していたのだ。
「実はちょっと、技術的にも難しいようなのです。内蔵のチップがメーカー毎に違っていたりとかですね……」
さまざまな問題点を説明されるのだが、その多くは以前の説明の繰り返しでもある。
それまで黙って聞いていた代議士が、口を聞いた。
「それはちょっと違うんじゃないの? 実際に電話機を作っている会社の人は“できる”と言っているのですよ」
これには課長も課長補佐も黙ってしまった。
この日、話し合いの時間は10分程度だったろうか。また持ち帰りとなってしまった経産省の担当者も気の毒な気がするが、ここまできてうやむやに終わらせてもらうわけにはいかない。
その数日後。省内の人事異動で担当者が変更になる、との連絡が入る。そしてしばらくの間、この話は宙ぶらりんの状態になってしまったのである。
(次号につづく) |