加藤紘一からのメッセージ topへTOPへ戻る 討論の場[討論の場]
メニュー
動画[動画]
メッセージ
メッセージ[テキスト]
メッセージ

「三位一体というシステム」

2003年1月31日収録

去年の12月、この私の事務所にノーベル賞を受賞された名古屋大学の野依教授が立ち寄って下さいました。

2人で1時間半ほど科学技術・産業政策等について話し合いましたが、野依先生は、現実の社会も理解していただいている、迫力のある学者らしからぬ面白い先生です。2人で話し合った中で1つ2つ印象に残った事。

第1は野依先生によれば「日本の科学技術研究のかなりの予算・・最近は大変増額されてきたけれども、かなりの部分が試験研究の試薬とか機器に使われていて、この多くのものは日本で調達できないから海外にお金が流れていくんだ」という事であります。日本でそういうものが作れなければ仕方がありませんけれども、しかしある分析によれば6割くらいのお金はそっちに使われている。アメリカ中心の会社とかベンチャービジネスだそうです。こういう研究の基盤になる基礎技術、それから試験設備のメーカの能力、こういったところがこれからの重要な部分になります。浜松ホトニクスという会社に光電倍増管という大変な技術があって、その結果カミオカンデというニュートリノの研究が出来たのだと思います。大変な実力を持った会社ですが、いろんな分野でこういうものを育てていく、という事が重要な事になります。

第2は日本の研究は確かに創造的なものが最近大変多くなってきて心強い事だが、しかし研究発表が中心になり、先行してしまう。まだパテントも当然十分取れていない段階で海外の科学専門誌に出す。そうすると載るまでの間に1〜2か月、3〜4か月かかってしまい、その間に海外でその見事な研究成果が情報漏れして伝わってしまう。海外のメーカがそれを適当に少し変えて製品にしてしまうというケースが多いという事であります。で、私がそういう話をよく聞くのですがと言いましたら、野依先生は、それは当然ある事だと言って否定はされませんでした。日本はちょっと人が良すぎるのかもしれません。島津製作所の田中耕一さんの件もその1つなんですけれども、研究する方とそしてその研究を素晴らしいものだと認める目利きの能力を持つ人とそしてそれを産業につなげるコーディネーターとこの三位一体というシステムをこれから作っていかなければなりません。

なかなか難しい事だと思いますけれどもそこをしっかりやれば私はこの国の将来の産業や経済もなかなか面白い所に発展しうるんだと思ってます。




御意見
このメッセージへの
御意見はこちらへ




※この文章は2003年1月31日に収録した映像の内容を文章におこしたものです。

[ひとつ前のメッセージ]
メッセージ
  [次のメッセージ]
メッセージ