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景気対策と構造改革〜政治家に聞く〜
株式ワイド「オープニングベル」
ご興味のある方は、『株式ワイド「オープニングベル」』の動画をご覧ください:
http://www.tv-tokyo.co.jp/obell/days/011210/o.html

【司会】 おはようございます。12月10日月曜日、オープンニングべルです。

冷え込む景気の打開策として、減税を求める声が与党内から出始めました。自民党の山崎幹事長は、国債発行の30兆円枠を守って、財政再建路線を進める方針は今後も変えないとしながらも、税制面で工夫の余地があると述べ、景気対策として、相続税や企業の交際費への課税を軽減することを検討すべきだとの考えを明らかにしました。
また、与党内からは、2002年度の税制改革で株式取得資金として譲与を受けた場合、一定限度額まで譲与税を非課税にする案も浮上しました。これによって証券市場の活性化と景気の浮揚につなげるのがねらいです。

それでは、きょうのゲスト、ご紹介いたしましょう。自民党元幹事長の加藤紘一さんです。おはようございます。

【加藤】おはようございます。

【司会】与党内からこういう声も上がっていますが、加藤さんは税制面での工夫の余地、あるとお考えでしょうか。

【加藤】あんまり僕は効果ないと思うんですね。6兆円、9兆円の減税やったことがあるんですけれども、あれで消費は伸びませんでした。だから、よっぽどピンポイントにねらった減税を少額やるというのはあり得ると思いますが。

【司会】ずばり、今、景気回復のためには何が必要なのか、一言で言うと、何でしょう。

【加藤】一言というのは、不景気の原因をみんなで理解することじゃないでしょうか。ちょっとずれているから、手が変な手になっているんだと思うんです。

【司会】そこら辺、詳しく、また後ほどお伺いしたいと思います。

そして、きょうのコメンテーターです。住信基礎研究所首席研究員の伊藤洋一さんです。おはようございます。

【伊藤】おはようございます。

【司会】伊藤さんは、この税制面での改革はどうでしょう。

【伊藤】僕はね、テロ後、アメリカが打った一票の処置、日本はね、戦力に逐次投入、アメリカは一挙投入。いろいろおっしゃるのはいいんだけれども、それぞれの政策に整合性をとって、驚きを持ってマーケットに出さないと、アドバルーンを上げちゃうと、それだけで経済政策の効果はかなり減退するんですよ。

【司会】党内からも、いろいろな意見が方々で聞かれていまして。

【伊藤】僕はね、ちょっとああいう出し方はね、やるんだったら、決めてボンと出すのが、マーケットに対する影響、つまり株式なんかこれから始まりますけれども、強いんじゃないかなと思っていますけれどもね。

【司会】経済政策の出し方というのも、やはり問題になってくるのでしょうか。

【加藤】そうですね。でも、よくやり方が細切れだとか言うんだけれども、かなり小渕さんのときにはボンとやったんですよ。50兆前後の税金しか入らない中で、6兆から9兆減税やって、これは逐次投入じゃなくて、能力以上の一挙投入ですよ。でも、だめだったですね。

【伊藤】お金の行き方、ちょっと間違っていましたね、私に言わせると。

【司会】では、そこら辺のことを詳しくお話していただきましょう。
では、早速、お二方にお話を伺ってまいりましょう。
まずは、加藤さん、小泉内閣発足から7カ月たったわけなんですが、どのように評価されていますでしょうか。

【加藤】今までやれなかった道路公団の話とか、それから医療費については、診療報酬の切り下げということを、どの程度になるかわからないけれども、一応、明記したということなど、やれないことを幾つかやってきたなと思っています。これからは民間経済をどうするか。そして、改革の後にどういう日本経済とか社会のあり方、そこの将来ビジョンについて語っていってほしいと思いますね。

【司会】それについては、同じご意見でしょうか、伊藤さん。

【伊藤】そうですね。切り口はついたと思うんですよ。例えば、あらゆる改革でも形がまずなければいけないわけで、中身を入れていくんですね、これから。診療報酬の引き下げの問題もどうなるかわからないけれども、そこら辺がきちんと、いつ、どのくらいとか、何か詰めが結構、残っている。特殊法人の改革にしてもですね。そういうような影響が詰まってこないと、実は評価できない面があるんじゃないかなと私は見ています。

【司会】そうですね。構造改革を進めていく上で、痛みは伴うということなんですが、かなり痛みを伴っているという実感はありますでしょうか。

【加藤】かなり激しいと思いますよ。だけど、これは2つありましてね、小泉さんがやっている改革によって失業が増えたり、それからデフレ気味ですね、起こっているのではないんだという部分と、それから小泉さんがやるから出てくる。そして、やらなければ、例えばさっき言った小泉以前から出ている問題の解決にならんというのと、混合して今出ているんです。

この社会はね、一番端的なのが、仕事がどんどん中国に出ているでしょう。実は12年前に冷戦が終わって、そして社会主義の人たちが、日本人たち、アメリカなんかも含めて、それが6億人、7億人ぐらいで、いい食事をしていたんですけれども、20億人ぐらいの人が、それもかなり教育レベルが高くて、ワークディシプリンというか、労働規律もしっかりとした人が参入してきたんですね。この点なんか、伊藤さんなんかいろいろ前にも本を書かれていると思うんですが、みんなそこに気づかないんですね。

最初、東ドイツと西ドイツが合併したときに、対等合併したもんだから、西ドイツは7、8年苦労した。今度、日本がね、隣に中国があるでしょう。そして、ちょっと種を差し上げると、立派なネギとシイタケとイグサになるし、ちょっとアパレルの仕事をご指導すると、そしてパソコンの使い方と、そうすると、ユニクロ現象になるわけですね。1,700円ぐらいで僕らが着るものが買えるわけですからね。

ですから、最近は大田区蒲田の町工場、金型工場が出ていきますね。だから、私は今の景気の悪さというのは、第1はそこにあると思っていますから、それに対して小泉改革がどう手を打つかであって、ほんとうは小泉改革によって失業が増えるんじゃなくて、失業が増えているのも、小泉改革がどう将来像を描くかというところがまず第1のポイントだと思います。

【司会】といいますと、当面の景気対策は、必要なんでしょうか。

【加藤】私は当面の景気対策はあんまりもう手がなくなってきて、あえて言うと、じわっとした円安、これしかないかなと思うときがあります。

【司会】円安については、どうでしょうか。

【伊藤】僕は来年の為替相場は150円まで円安になると見ているんですよ。必要だし、そうなると思います。きょうもね、もう5円の後半でしょう。

ただ、私はこう思っているんですよ。円安は役に立つかもしれないけれども、万能薬じゃないと思っているんです。なぜかというと、日本の企業はもうかなり、私、9月に中国へ行ったんですけれども、工場を出しています。むしろ出しているんだったら、円安になったら、逆に日本へ持ってくるときに困りますよね。

結局、さっき加藤さんがおっしゃったけれども、中国は確かに脅威になっていますけれども、あそこは人口の1割だけが豊かになっただけで1億3,000万人の消費者が生れるわけですよ。だから、もう脅威だと言うよりも、あそこをいかに取り込んでいくか。日本の経済をどうナレッジ・インテンシィブな、中国ができないようなというところに持っていく、その先を見る経済政策が今まで日本にはなかったんじゃないか。

僕はね、非常に残念だけれども、日本の政治家の方は、冷戦が終わったときに、世界がそうなるということを理解するのが遅かったんじゃないかなと実は思っているんです。

【加藤】そのところはそうだと思います。認めます。それから、今、永田町に生きている人間ですけれども、世間の景気に対する危機感、悲壮感と永田町というのはちょっと差があるような気がします。

【司会】あまり危機感を感じてないということでしょうか、永田町では。

【加藤】そうなんです。これはちょっとしたことなんですけれども、やはり比較的、元気な人たちの集まっているところなんですね。選挙をやれば当選する人たちが。かなり前向きということはいいんですけれども、しかし、かなりの底辺で失業が起きているとか、それから特に年金不安がありまして、これで消費を落としていると思うのですが、そういった感じのところをつかみ切れてないところがあると思います。

それから、伊藤さんがおっしゃったように、冷戦が終わって、結局、労賃の競争では、我々、どうしようもないところに入っていくんだと。だから、基礎的な科学技術研究と産業技術研究、そういうところでブレイクスルーをつくっていくしかないんだという感じは、7、8年前からわかっていたと思うんです。

私も79円75銭という、最も円高になったときに政策責任者をしていたのですが……。

【司会】95年ぐらい。

【加藤】そう、95年。

それ以降、これ、世の中は順ぐりだと。我々もアメリカの鉄鋼とか自動車とかね、安い賃金と技術でやってきたんだし、今度、我々がやられる番だと。そうすると、答えはどこか。独自の技術をつくるしかない。そこに焦点がなかなか当たってこないといういら立ちはありますね。

【伊藤】僕ね、お金の行き方が、要するに今まで10年間、間違っていたと実は思っているんですよ。道路もいいですけれども、例えば未来を形づくる日本の産業を力強くしていくこと、日本の科学技術というのはIMDの調査でも2位なんです、アメリカに次いで。非常に高いんですよ。そこへお金が向かない。例えばナノテクノロジーとか、量子コンピュータとか、いろいろなところがある。そこにお金が移っていかなかったものだから、ものすごくおくれちゃっているわけですよ、そういう意味で。

アメリカは英語という言語があるから、例えばハリウッドで映画をつくるでも生きていけるけれども、日本はやっぱり……。

【司会】何かものをつくって。

【伊藤】言語を介さないものをきちんとつくっていかないと、国が立ち行かないというところ。だから、製造業は絶対大切にしなきゃいけないんですけれども、そこら辺をね、例えば加藤さん、こういうことをおっしゃっていて、科学技術に非常に興味がある。僕は日本の政治家の中で珍しいことだと思うんですけれども、こういう流れを永田町の中でつくっていっていただかないと、いつまでも予算をどうするとか、30兆円におさめるとかおさめないとか、そういう話をしていても、全然、市場はもう反応しないところまで来ているんですけれどもね。

【司会】その科学技術については、どのように具体的にお考えになっていますか。

【加藤】科学技術に対してお金をつぎ込むということは、けたが2つ低いんです。政調会長時代なんていうのはね、幹事長とかやっているときには、何兆円単位で予算を組むとか言っているのですが、おそらくナノテクノロジーは、今、5、600億つぎ込んでいますけれども、これにあと1,000億つぎ込んだら、とりあえずまだ使い切れないぐらいのお金になるでしょう。ですから、ほんのちょっとのお金でかなりのことができるし、例えば最先端を行くのはこれからナノですけれども、これはアメリカのクリントンさんが演説して、世界じゅう大変だと言うんですけれども、実際上は日本の研究所でつくったナノテクノロジーの報告書、それを翻訳してしゃべっただけぐらい、我がほうは進んでいるんです。

【司会】でも、ナノテクも研究は進んでいたとしても、これをいかに産業に転換できるかということだと思うのですが、そこら辺、うまく流れていくんでしょうか。

【加藤】流れていきますよ。アメリカだって、何も流れていませんから、今はまだ。日本のほうがかなり進んでいます。でも、ちょっと油断しますと、ぐっと来ますしね、中国の学者なんかも日本の研究所に入って、一緒になって研究していますから。でも、科学技術の面に突破口があるんだと。それから、もう1つ、年金不安で消費が落ちている。この2つに気がつけば、私は日本経済というのはかなりの回復の見通しはつくと思うんです。

【伊藤】僕はね、日曜討論とかああいう場で、政治家の口から今の加藤さんのようなナノテクとかそういう単語がぼんぼん出てくるような国にならないと、まだ厳しいと思いますけれどもね。

【司会】 今、やはり分野によっては、オーバーキャパシティなわけですよね。それを解消していくのが、ある程度、不良債権処理であったりするわけで、でも、それプラス、どこへそれをシフトさせていくか、人員なり何なりを。それが構造改革だと思うんですが、そこら辺をいかに提言されていかれますか。

【加藤】 それは、金利がゼロというところにすべての問題があると思っています。つまり、金利がゼロですからね、だめな、オーバーキャパシティな、そして時代におくれた製造業でもほかの産業でも、日々、暮らしていけるんですよ。

ところが、ゼロでなかったら、例えば2.5%であれば、ふるい分けになりますよ。先ほど私が円安がすべてと申し上げたのは、実は競争力が円安によって少し回復されるという貿易面もあるんですけれども、円安のプロセスをずっと考えていくと、結局、少し国内の長期金利高になるんです。そうしますと、今のように、何とはなしに日々過ごしていく日本経済にならないんです。銀行も必死になります。まだ、必死じゃないですよ。

あのシーガイヤというのがありますね、宮崎の。破綻したとき5,500億ですよ。銀行に150億どこかに返して、あと全員泣いて、そしてアメリカの企業が190億円で買っていったんですよ、リップルートが。あれ、なぜ日本の銀行ができないか。190億円ぐらいのお金だったら、その辺にいくらでもありますよ。銀行は持っています。使い道がないから国債を買っているわけでね。ですから、そのやる気がなくなったというところが日本経済のもう1つの大きな原因、リスクテークしなかった。しなくなった。そこに問題があると思うんです。やはりそこは若干の金利が上がることで、刺激するしかないんじゃないでしょうか。

【司会】さて、やはり日本経済の回復にはアメリカの景気回復というのも欠かせないわけですよね。

【伊藤】アメリカは大分好調になってきましたよ。指標がよくなったし、ダウは1万ドルでしょう。ナスダックは2,000ポイント、アフガニスタンの勝利、これでアメリカ人はちょっと自信を回復しているんだと思うんですよ。もちろん回復し始めても弱々しいとは思うんですけれども、アメリカの場合はもう底が見えた。日本は底が見えないと、そういう環境ですよね。

【司会】では、ここでアメリカの識者にお話を伺っております。ごらんください。

今のご意見、どういうふうにお聞きなりましたか。

【加藤】この方たちのおっしゃっていることをやって、日本経済、今まで悪くなったかもしれませんよ。今の最後、減税、減税とおっしゃる。アメリカは減税って大統領が一言言うと、お金を受け取る前に、つまり減税される前に、もうすぐに買い物に行っちゃうような国なんですよ。ですから、日本の消費性向がGNPの中の60%、向こうは70%、それでどんどん借金しても減税していたわけですよ。

私は、今、言っているように、減税してもだめだったということは、7兆円でもう証明されたんですから、やっぱり日本人はなぜものを買わないと思われますか。

【司会】将来不安ですよ。

【加藤】将来不安なんですよ。

【伊藤】将来不安があったらね、お金は使えませんよ。みんな貯蓄しちゃいますよ。

【加藤】だから、将来不安だったら、何の不安かと。自分の老後の不安ですよ。年金ですよ。きんさん、ぎんさんがね、私、景気を悪くしたなと思うところがあるんです。

【司会】何で。

【加藤】104歳まで元気で生きて、頭がボケないという喜び、希望も与えた。しかし、一般庶民は同時に、104歳まで自分の貯金はあるかなと思っちゃうんですよ。

【司会】今、ほとんど長生きがリスクのように思われていますけれども、それはどうなんでしょう。

【加藤】リスクがあるときには、長生きしたというのが事故になるわけですから、それには保険かけなきゃいけない。これが年金保険ですね。その年金保険がどうもつぶれるらしいといって、僕はね、これを言うと生命保険の方に怒られるんだけれども、生保レディがかなり問題なんじゃないかと。

【司会】つまり勧誘の仕方とか、そういうことでしょうか。

【加藤】ものすごい、全国で30万の方がいらっしゃって、非常に説得力があるんですよ。政府の年金は週刊誌に書いてあるでしょう、つぶれますよと。うちの年金をどうぞと。そうすると、生保の官の方はね、国の年金が一番ですと。そのプラスαで生保を考えてくださいと一所懸命教えているんだけれども、どうも直接、頑張っちゃうらしいと、こう言っていました。

【伊藤】でも、加藤さん、生保レディのせいにしてもしようがないので……。

【加藤】ただ、それほどね、私は国の公的年金の不安というのは大きいと思いますよ。

【司会】じゃあ、どんなふうに改革すればよろしいんでしょうか。

【加藤】総理大臣がテレビに出てきて、2時間も3時間もライフプランと年金、賃金、そういう問題をドーッと安心してしゃべって、国の年金が一番安全というか、得だと自信を持ってどんとしゃべる。

【司会】でも、それ、全部国が年金まで面倒見るという考えに立っていらっしゃるわけですよね。今後、個人責任というか、日本版401Kの話もありますし、そういった自分たちで何とかやっていこうという……。

【加藤】僕はね、401Kってね、そんなにいい年金じゃないと思いますよ。だって、国の年金はもうけないんでしょう。401Kは商品ですよ。もうけるためですよ。それから、国の年金はいざとなって払うときに、今は3分の1、将来は2分の1を消費税で集めてきたものをボンと払うんですよ。だから、国の年金が一番得なんです。

【伊藤】僕はね、今、加藤さんが言ったことでね、小泉さんがテレビに出てきて、2時間でもしゃべればいいじゃないかって。言葉がね、マスコミを通じちゃうもんだから、直接、しゃべるということが、国民からあれだけ支持率が高いわけだから、こんこんと話せばね、この人、何を考えているかといって、また動き出す面もあるんですよ。それがね、今まで日本の政治家は国民に直接話しかけるという、コールにしても、レーガンにしても、クリントンにしても、みんな国民に語りかけて、それで国民を動かす、心をムーブさせる。それで信頼感を醸成していたところがあるわけですよ。日本はね、この人に信頼感をつくるのに、今まで政治家は僕は失敗してきたと思う、残念ながら。

【加藤】それはね、やっぱり政治における言葉だと思うんです。我々は国会で審議して通すという仕事で、政策をつくるときには官僚の皆さんにつくってもらう。そうすると、難しい言葉で出てくる。それをやっと理解して、例えばテレビに出てきてはしゃべる、演説すると。そうすると、官僚言葉なんですよ、政治家の言葉自身が。小泉さんの人気というのはね、最後までやるよという普通の言葉なんですね。初めて生の言葉でしゃべる時代に来たなという。だから、小泉さんが政策問題を今度はどんどんと話していっていいと思います。

【伊藤】僕はね、そういう意味では、日本の政治は一歩前進したと思うんです。だけども、小泉さんが内閣をおやめになるときに、じゃあ、次、どうするか。自民党の中にね、人材がいないじゃないですか。加藤さんとかね、次に備えられている方が、ご自身はどうなんですか。次の政権の話なんですけれども。政治家だったら、やっぱり政権をとって自分の思っている政策を実施したいということがあると思うんですけれども、そこら辺は今、どうお考えになっておられますか。

【加藤】 政権というのは運みたいなものがありますから、でも、やはり我々、政治家というのは、常に自分が今、ここで政権を担当させられたらどういう政策を打つだろうかと。

【伊藤】 だから、のろしを上げ続けなきゃいけませんね。

【加藤】 考えてなきゃいけないし、それのためののろし、方向は上げてないといかんと思うんです。

【伊藤】 そういう意味では、今までの小泉さんの改革について、自分だったらここがもっとよくできるのにというところは何かないんですか。

【加藤】 それはあります。でも、あえて言えば、もうちょっと診療報酬について言えば、切り込んでほしいと思ったり。

【伊藤】 つまり、時期とか幅とかですね。

【加藤】 それから、この間、医療費の伸びを管理する制度というのを導入しようとしたんだけれども、あそこはもっと頑張ってほしかったなと思いますね。

【伊藤】 管理制度ですね。

【加藤】 それから、今、行政改革は特殊法人にいってるでしょう。あれ、つまり国のああいう公団の活動というのは、日本経済の中で5分の1ぐらいのところですよね。5分の4の民間がなぜ動かないかに早く目を向けてほしいと。それから、やっぱり将来、僕だったら日本の経済は科学技術で安定するんですとか、それから日本のアイデンティティなんかとか、そういう将来の話をもうちょっと話したほうがいいと思いますね。

【伊藤】もっとね。ちょっとじゃなくて、もっと話してもらわないと。

【司会】そうなんです。どんな国にしていけばいいんでしょう。そこら辺の議論があまりないですよね。

【加藤】そうですね。例えばね、科学技術でバイオ、再生医療をやりますと、視神経の再生はできると思いますよ。胚性幹細胞という技術を使って。そうすると、おれはねと、総理大臣がパリに行って、国際会議のときに、全世界の視力のない人は日本に来てくれと。日本で光を与えますというぐらいの演説をぶちたいとかね、そういう夢を語っていくといいと思うんですよ。

【伊藤】加藤さんがなられたら、やるわけですね。

【加藤】やりたいと思います。そういう夢をね、日本の持っている力の中から総合すると、語れるのがいっぱいあるんですよ。

【伊藤】僕、NASAの宇宙計画はむだ遣いだったと言う人もいるけれども、アメリカにとってものすごく資産になったと思うんですよ。あそこから出ていた技術はすごいんですよ。だから、ああいうものを1つぶち上げないと、もう負の処理ばっかりしていたって、だれも気分が明るくならないし、日本経済はよくならないんですよ。そこが一番欠けているんですよ。

【加藤】そうです。今の減税の話にしても、不良債権の処理にしても、なぜしなきゃならんのだと。私、さっきシーガイヤの話をしたんだけれども、リップルウッドに190億で買われるなら、日本の銀行が買っちゃいなさいと。それで、再生して、1,000億ぐらいに売るというぐらいの根性をなぜみんな持たないんだと。それを持たなくなっているから、不良債権処理しなきゃいかんのだというようなことを言わないと、構造改革とか不良債権処理、じゃあ、どうしたの。それをやったら、どうなるのという言葉が、みんな統一されてないんじゃないでしょうか。

【司会】そうですね。不良債権処理をやった上で、どうやって将来のビジョンを描くかというのが本来の構造改革だということだと思うんですが。

【加藤】そうですね。

【司会】お忙しい中、きょうはありがとうございました。

── 了 ──