講演・対談・論文 ▲ 「講演・対談・論文」トップへ
「加藤紘一君の国政復帰を祝う会」挨拶
加藤紘一君の国政復帰を祝う会
2004年4月20日
 去年4月24日、一年前でございますが、この会場のこの場所で皆さんに、また、がんばって帰って来いよという激励をいただきました。そして、去年の11月9日、地元の皆さんの温かいご支援でまた国政に帰ることができました。
 本当に辛い日々にもかかわらず、しっかりとご支援いただいた東京および全国の皆さん、そして、自分の選挙区で必死にいろんなことがあっても、自分の仲間を説得しながら私に票を集めていただいたリーダーの人々に本当に感謝申し上げます。辛いときであればあるほど、そのあたたかさと、そして本当の友情に心から感謝申し上げる日々でございました。帰ってまいりました。どうもありがとうございました。
 それから約5ヶ月になります。日々、国会議員の活動がこんなに大切なものであったのか。一生懸命活動すれば、かくも影響力を持ちうるのかと改めて感じております。毎日がフレッシュです。毎日毎日大切に活動していこうと思っています。
 選挙区の皆さんには、自分は東京に帰ったら政策中心で仕事をしていきたい、と言ってまいりました。それは、何かといいますと日本の将来を考える時、忘れてならない基礎的な科学技術研究。これが知的所有権の蓄積という意味で経済競争の鍵になるので、それを頑張ってみたい。先ほど、ご挨拶いただいた晝馬さん(浜松ホトニクス)のような会社が日本に十社、十五社生まれたら、もう私は万全だと思います。次に年金。自分が当選2回のときに少しは世間に認められるような政治家になったのは、年金の官民格差っていうのをやったのがきっかけだから、そのテーマをやろう。それから、中国とアジアを自分のライフワークにしたい。地元の問題以外はこの三つに焦点を集めてやろうと思って頑張っております。
 私は本当に、この一年半の浪人生活の間で、人に会うのが楽しくなりました。地元でも人に会いたくなります。話を聞きたくなります。そして、東京に来てもいろんな分野の人の話を聞きたくなります。そして、国会議員という立場でお話を聞くとなるとこんなに最高の人たちの話が聞けるのかなぁと思います。教育の問題となればもう有力大学の総長さんたちの話が毎日のように聞ける。介護の問題はどうか、と思うと、介護でもっとも苦労されている業界のトップの人から現場の話が聞ける。こんなありがたい仕事はないと思っています。地元に帰ると、地元でなければ見えない問題があって、今日は短時間でございますので、あまり申し上げませんが、例えば年金の話などは、これほど皆が注目しているテーマはない。老若男女どの世代でも、どの地域に行ってもこの年金の話をしています。これほど一般的なテーマっていうのはごく最近では、消費税の話。もうちょっと先に行くと日米安保の話、でも、これほどまでに広がってなかった。しかし、その年金の話も、まだまだ政治家も官僚も、勇気を持って喋っていませんので、本当のところを国民には話してないと思います。今年払っている公的年金の支払い総額は42兆です。国税収入は同額の42兆です。これだけ考えると凄まじい話で、これを消費税で全部払おうとすると17%に相当します。だから、本当に生涯平均賃金の51%、働いていたときの51%、つまり40歳の人間の可処分所得の51%を70歳のひとに保障できるのか?でも、それをやっても23万円です。東京じゃ生活できない。でも、田舎じゃいい生活ができます。スペインに行けば良い生活ができます。チェンマイに行けば良い生活ができる。しかし、現実にはそういうわけもいかないから、やはり自然がある地方に住むということを考えに入れないと、年金の問題は見誤るのではないか。世界一物価の高い東京にいて、東京で育った人たちが役所やマスコミにいて、東京の生活感覚で年金を設計していったらどうにもならない結論を出してしまうのではないか。まだまだ議論しなければならないことは山ほどあります。でも、そういうことを考えながら毎日を有意義な日々だなあと思っています。
 最後はやっぱりこの国をどうするかを考えなければなりません。今から13年ぐらい前に、田中清玄という人が私の事務所に来られました。元共産党のバリバリ、その後、筋の通った国粋主義者になって・・・というので、結構知っている人は知っている有名な方です。その方が私のところに来られました。「あなただけに一言いっておく。いずれ、ソビエトは崩壊する。その後、世界は民族と宗教の対決になるだろう。それを考えて、せめてあなたはよく勉強をしておいて欲しい。」と一時間ほど話して帰られました。しばらくしたらソビエトが崩壊しました。そのあと、ハンティントンというハーバード大学の教授が「文明の衝突」という論文をアメリカの雑誌に書きました。イデオロギーの崩壊後、これからは文明の衝突になる。キリスト教文明がある。イスラム文明がある。そこが衝突するだろう。そして、中国というものがある。これは、儒教の精神だ。そのそばに、ちょっと個性のわからない日本というのがあるが、それはそれでまあいいだろう。あまり重要視しなくていい。要約すればこういう論文でした。その議論は正しい、正しくないという大変な論争がありましたけれども、この田中清玄さんとハンティントンの言ったことは、今私たちが直面している苦悩と問題点を見事に予言しています。この国って何だろう。それを考えずしてごく普通の国になって、軍事力を持って、「普通の国」になろうというのは、私は答えではないと思っています。この国のあるべき姿とは何か。最終的には、私が思うのは去年この会で申しましたように、日本人の古事記、日本書紀時代以来のある種の自然観というものが、キーワードになるような気がします。日本人のアイデンティティ、こだわりというものは、何であるべきなのか、そういうことを考え続けながら、介護保険も科学技術も年金も、そしてイラクの問題も考えていきたいとこう思っております。
 これから、再び与えられた議席というものを大切に働きます。国民がより張りを感じられる社会を作れるように、明るい社会を作れるように頑張っていきます。仲間も多くいます。拓さんが、ああやって文章を書いて演説してくれたなんていうのは31年の付き合いで初めてでありました。本当に友情を感じます。自分の選挙が心配だっていうのに僕の選挙区に応援に来てくれて、僕は通ったけど彼は落ちた。今度は僕がお手伝いしなきゃならん。長い時間を見れば、人生浮き沈みあるし、政治家も川の流れでいろんなことがあるのだろうと思っています。長い長い時間を考えながら、しかし、日々を大切にしながら、しっかり頑張っていきたい、この国は大丈夫です。大丈夫なように、我々でしてみせたい。こう思っています。どうもいろいろありがとうございました。