加藤紘一氏の「国政復帰を祝う会」にお招きいただき光栄に存じます。
トップバッターで、しかも政治家では唯一人、加えて在野の身である私が祝辞を申し述べることはミスキャストもこれに過ぎるものはありませんが、ひらめきの政治家である加藤さんの発想を大切に考えて、かつ加藤さんの厚い友情に答えるため、敢えてお引き受けを致しました。
さて、加藤さんは皆様の温かいご支援で無事国政復帰を果たされましたが、代わって私は国政の場から失脚させられて早や半歳になります。先般養老孟子先生の「バカの壁」という本を読んでおりましたら、紀元前五世紀の古代ギリシヤの哲学者ヘラクレイトスの「万物は流転する」という名言が引用されていました。私共小泉総理を含めたYKK三人組が、一種の政治同盟を形成して十数年になります。その間「加藤の乱」の挫折、小泉政権の誕生等、私共三人の関係も随分と流転して参りました。鴨長明も方丈記の中で申しましたように「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。世の中にある人と栖とまたかくの如し」そんな感じが一しおです。何しろ三人の中では末弟と思っていた小泉さんが岸に上がって城を築き、後の二人が河の流れに流されて浮いたり沈んだりしているのですから諸行無常の響きありです。現状は加藤さんが浮かび上がって、私が沈んだところです。皆さんは私が二度と浮かび上がってこないと思っているかもしれませんが、私は必ず第一線に復帰します。
小泉総理は「YKKは友情と打算の二重奏である」と申しましたが、加藤さんは、国政復帰を果たされました後、YKKの関係を見直されて「友情と政策主張の二重構造」と言われております。イラク自衛隊派遣の問題では、文字通り政策主張の二重構造になりました。ここで加藤さん得意の英語でプロバーブ(ことわざ)を一つ紹介しますと、それは「It takes two to Tango.」です。“タンゴは一人では踊れない”という意味です。私と加藤さんは本件では大分ステップの踏み方が違いますが、三十一年間ペアーで加藤さんは政策ステップで、私は政略ステップで、たくみにお互いの足を踏みつけることなく混迷の政界で踊り続けてきましたので、これからもパートナーシップを発揮し続けたいと存じます。
最後にご参加の皆様、加藤時代は必ずやって参りますので、期待と確信を以て引き続き加藤さんを応援してあげて下さい。お願い致します。
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