企業年金連合会に124万人、計1544億円の未払いが発覚した。1人頭12万円というのは、大きな金額である。毎月受け取る金額ではなく一時金だとしても、多くのお年寄りにはたいした金額だろう。 これを聞いて、「ああ厚生年金もか」と思った。このトラブルも結局のところ、過去の住所変更や転職記録などを追い切れないというところが原因になっている。短期間でいくつもの職場を点々とした場合や、「職員募集30歳以下」などという年齢制限があって、年齢や名前をちょっと誤魔化して働いたりしたというケースも決して少なくないはずだ。
結局のところ、このような未払いの発生を防ぐには、社会保障番号の導入を避けて考えることはできない。今回の話もほとんどが、統一年金番号を1人ひとりに与える以前の職歴について起こったトラブルなのだ。「政府が全てのデータをきちんと掌握してコントロールしてしかるべきだ」という意見と、「住基ネット反対、社会保障番号反対、納税番号反対」という意見とは、実は非常に矛盾するのだというところを、もっとみんなで議論しなければならない。
厚生年金のトラブル発覚と同時に、市町村で起こった市職員の年金横領というニュースが報道された。最近起こった問題のなかでも、こんなにひどい話はないのではないだろうか。 仮に、税務署の職員が集めた税金をポケットに入れたら、おそらくは即、懲戒処分であろう。年金も同じはず。厳正に処分されるべきである。
このような報道が続くにつけ、年金に対する信頼は、失墜する一方のように思える。それでも、やはり公的年金がいちばん制度として安心できる仕組みであることは間違いない。民間の金融機関が扱う年金制度というのは、その会社が潰れればおしまいなのだ。強制的に国民から保険料を集める能力もない。やはり老後を安心して考えたいのなら、子どもを親孝行に育てるか、公的年金をしっかり作るか、どちらかである。 そのためにも、年金の本質論をみんなで議論すべきだ。「浮いた年金記録」問題というのは、実は年金の「事務」の問題で、これを扱う議員がヒーローになる国会というのもちょっと淋しいものがある。本質的な年金政策論ではないからだ。 舛添・長妻対決が注目されているようだが、両名とも基本的には年金記録を正確にし、年金を受給者当人につなげるという点では同じはずだから、マスコミが期待するほど、あまり面白い論戦にはならないのかもしれない。