【加藤】 加藤でございます。私、小さいときからこの都城という言葉が好きでした。小学校6年ぐらいのときに地理の中でこの名前を覚えたのであります。非常にロマンがある名前でございまして、いつかは行ってみたいと思っておりましたが、今日初めてやってまいりました。
都城という名前がまた深く私の印象に残ったのは、国会議員になって2年生のときに、1期おくれた後輩として非常に迫力のある方がこの都城からやってまいりました。堀之内久男先生でございました。とても後輩などと呼べるような人ではなくて、市長としてこの市の経営をやり、その前に農協の経営をやって、農林部会で話をするときに、極めて経営感覚のある農業論をぶたれました。私が考えていた都城というのは、何か城下町のおっとりとしたところだなあと小学校時代思っていたのに、なかなかバイタリティーのある町のような感じを与えたのが堀之内さんの登場でございました。
それ以来私は、小山長規さんの同じ派閥での後輩ですから小林には2度参りましたし、持永先生の応援で先般えびの市なんかにも参りましたけれども、このまちは素通りしました。今日初めてお邪魔して、党支部の杉村賢一支部長にお会いしたりすると、ちょっとした風格と印象から、ああやっぱりこの町は城下町の、そしてしっかりとした歴史を持った風格のあるまちだなというような感じを受けました。私の生まれ育った山形県鶴岡市も大変ここと同じような歴史、伝統を誇っているまちですけれども、持永先生が国政に参加され、それからこの同じまちから3人の国会議員が出ているというのは大変珍しいケースだと思いますけれども、どうぞこういう中で、堀之内先生と長峯さんと持永さんと、この力で、この地域の発展を一層深めていただきますように、そのために自由民主党がご活躍なさってくださることをお願い申し上げたいと思います。
■ GNPの6割を占める個人消費を喚起するような経済の構造改革が重要
今、世の中、不景気なんですね。だれが考えてもこの景気のよさを、景気を回復してほしいと思うのはすべての人間の願いです。そしてそれは単に景気がいっときよくなるだけではなくて、この国が将来にわたって元気であってほしいと、そういう願いではないでしょうか。最近、自由民主党の中にいろいろな議論があります。私とか梶山先生は、日本がもうちょっと長い意味で体力のついた元気な国であってほしいと願っておりますし、一方、私たちを批判される党内の人々は、とにかく景気をよくすることが先で、財政の再建なんかは考えなくてもいいじゃないか、そこから後だというようなことをおっしゃいます。私たち、梶山さんと私はほとんど意見が一致しているんですけれども、国がお金を使って景気がよくなるなら使ってもいいでしょうと。しかし、どうも使ってもそれが長続きしない、限界に来ているのではないか。だから、もっと抜本的なことを考えなきゃいかんのじゃないかと思っているんです。だから、あえて言えば、財政構造改革・財政再建派と景気重視派かという見方は違うのでありまして、長続きする景気を求めて、この社会を変えなきゃならないと考える経済の改革派か、それともいっときの景気のみを考える、それを重視する派かということなのではないかと思っています。
日本の経済というのは500兆という経済なんですけれども、そのうち住宅を一生懸命やりますと、住宅産業というのは500兆のうち20兆ですから、そこそこ1兆か2兆の景気のよさがプラスされるかもしれません。公共事業というのは40兆の世界なんです。国が約10兆ほどお金を使って、あとは地方自治体がお金を出したり、国がいろんなところから、財投といいまして金を借りてきて、足して40兆ぐらいの道路をつくったり橋をつくったりしているんですが、今、この部分を景気をよくすればいいじゃないかという意見が多いんですけれども、これとて40兆なんですね。民間の企業が設備投資をする、新しい工場をつくる、これが毎年大体80兆ぐらいなんです。ここに火がつかないとほんとはだめなんです。20兆の住宅、40兆の公共事業、これには政策減税をして、この間、住宅が少しにぎやかになりました。しかし、ちょっとまたおさまりました。公共事業をやればそれなりに効果があると私は思っています。しかし、今、民間の80兆のところには火がついていないし、なおかつ一番重要なのは、国民が最後に物を買う個人最終消費というのが300兆なんです。ここに火がつかないとほんとうの景気のよさにはならない。やはり今、日本の経済、景気を考えるときには、この数字を入れた感覚で政治家は議論しなければいかんのじゃないでしょうか。
■ 個人消費を抑える二つの不安―老後の不安と日本経済の将来不安
だから、ちょっと個人がみんな物を買いましょうというので3%ぐらい余計買ったら、これで10兆近い景気、つまり、GNPで2%ぐらいの成長になっちゃうんです。では、なぜ人々が物を買わないか。その分析を私たちはいろんな本で読みます。大学の経済学部の先生の本を読みます。それからいろんな証券会社、総合研究所のエコノミストの議論も聞くし、テレビに出てくるいろんな有名な経済評論家、エコノミストの話も聞くけれども、いま一つ私は納得しないんです。それはなぜかというと、私たち政治家は地元で国会報告をします。あと、こうやって今日のように宮崎県自民党第三支部の皆さんにこうやってお会いする。そしてあるときには静岡県に行って演説する。そういうときに演説をしながら、また意見を聞きながら、皆さんが何を思っているかなということを自分の演説に対する反応を聞きながら日々考えております。そうすると、過去2年ないし3年の私の結論は、皆さん、結構お金はある。でも、買わない。なぜ300兆の個人消費が伸びないか。2つの不安があるからだと思います。1つの不安は言うまでもなく、自分の老後が大丈夫か。介護保険が始まるようだけれども、今、大変な議論をしているけれども、自分の老後をちゃんと恥さらすことなく人生を終えることができるかという老後の不安であります。そして、20歳代の人は、どうも国に借金がどんどんたまってきたようだけれども、何か今の政治家は孫のキャッシュカードを使いながら金をばらまいているような感じだなと。ということは、自分たちのときには年金が来ないのかもしれないなと。こんな不安、将来不安を持っているから、国もあてになりそうもないなと思うなら自分の生活を自己防衛、貯金しておいたほうがいいじゃないかといって減税でお金が入ってきても買わない。ここが1つあると思うんです。
もう一つの不安は、日本の経済、産業が大丈夫なんだろうか。最近いろいろな分野で次から次へとアメリカに負けているようだけれども、また、最近は中国だとか台湾だとかシンガポール、マレーシア、韓国、こんなところに追い上げられているようだけれども、日本自身、かつてのように、ジャパン・アズ・ナンバーワン、世界で2番目の国、そして経済としてはナンバーワンみたいな勢いをなくしてだんだん没落していくんじゃないだろうか。そうすると、お父さんが勤めている企業もだめになるならば、今のうち貯金しておいたほうがいいんじゃないだろうかという、この2つの不安があって何とはなしに物を買っていない。それに、買いたいものもなく大体そろっちゃったしねと。自動車もカラーテレビも冷蔵庫も。これが今の経済の実態じゃないでしょうか。だから、将来に希望がないと今のお金を使わないということは、大体、私たちの政治家の間ではコンセンサスの分析なんですよ。
■ 政治家は国民の声を肌で感じている
ところが、今言ったような、この国の将来に対する不安があるから買わないとか、老後の年金、介護保険に不安があるから物を買わないということを論文にしている経済学者がいるか。特に、それを数字であらわしたりアンケートをとったり、我々に説得してくれるだけのデータ化して論文を書いたエコノミストがいるか、テレビでしゃべっているかというと、私はほとんど見たことがありません。だから、私は経済学はもう死んだのではないかと思います。エコノミストも、今、国民の真の心情というものと合致していないのではないか。現場を知らないのではないかという気がします。ですから、今一番経済とか景気について的確な判断ができる人間は、もしかしたら日本の中では全国を歩き回ったり、または選挙区で国民、有権者の意見をじーっと聞いて回っている政治家なのかもしれないというような気がします。経済学は死んだ。そして、現場を知っている政治家が経済学を論じなければならない、そういう時代に来たんではないかというふうに思います。
■ 公的年金制度を堅持すべし
私は今、2つの不安ということを申しました。その中の老後の不安の話もしました。ここの半分、この部分を解決できたら、私は景気対策の半分ができるのではないかと思っています。年金は大丈夫です、私的な会社に頼るような年金ではなくて国の年金のほうが大丈夫ですということを、もっともっと国民にばしっと言う必要があるのではないでしょうか。それはそうでしょう。だって、国の年金がだめだからって、じゃあ民間の年金に頼るといっても、やるのは生命保険会社か信託会社でしょう。その生命保険会社は時にはつぶれますね。最近ありましたでしょう、2つぐらい。生命保険会社が2つ、日産生命と東邦生命がつぶれたわけです。そこに掛けていた年金は、約束の9割しか払いませんみたいなことになっているわけです。だから、そこはつぶれる。国はつぶれません。
それにもっと重要なのは、国はもうけません。生命保険会社はもうけを考える。そして国は税金でつぎ込んで補助します。生命保険会社の年金はそんなことはできません。30年後、年金、お金の価値が下がったら、そのときにはそのときの価値に合わせて若い衆から税金を取って、そのときの価値に合わせて支給してくれます。これをスライド制といいます。ですから、どんなことがあっても国の年金のほうが有利で安定しているんです。なのに国の年金はだめだと思っていればみんな不安になります。いや、大丈夫らしいよと言ったら、スーパーで1品余計買います。全国民がスーパーで1品余計買ってごらんなさい。景気がよくなります。
■ 介護が必要な老人はわずか120-130万人
介護保険でもそうでしょう。老人が多くなるから老後が大変だというんだけれども──老人というのは65歳以上のことを老人と言うんです──みんな65になったらすぐ明日から介護が必要なんじゃないかと思っていますけれども、おそらく2,200万人の老人のうち、今、介護が必要なのは、厚生省の統計によりますと120-130万人だというんです。そのうち寝たきり何人かというと、多く見積もっても40-50万人じゃないでしょうか。だから、老人2,200万のうち寝たきりというのは40万人だよ、50万人だよと思えば、おい、みんなで少しお金を出して、たまたま40万人だから2%ぐらいの人がそうなっちゃうのかな、2,200万人のうち40万人だから2%。じゃあ2%の人をみんなで面倒見ようじゃないか、こういう保険のような仕組みを考えればいいじゃないか。じゃあ、どうするんだと。保険はそうやって一生懸命考えて掛けて、死ぬときに1日寝たきりでぼーんと死んじゃったらどうするんだと。損するんじゃないかと。その損はいいじゃないかと。だれだってほんとうに、もう老後は最後ぽーんと亡くなるというのがいいんだと思っているんだから。火災保険掛けて、これ、火事にならなかったから損したなんて言う人がいるかと思えばいいんです。
ですから、介護保険をしっかりやって大丈夫だと思い、年金についても大丈夫だと思えば、それはみんな少し物を買うようになるんです。老後の最大の問題は、男は77で死に、女は84で亡くなるんですけれども、全員自分だけは90か、きんさん、ぎんさんまで生きたいと思うし、生きると希望を持っているわけです。その分だけ、長い長い分だけ生活できるように貯金しようと思うから、みんなが物を買わずに貯金が増えているわけで、だから、そういったところをびしっと国民にわかりやすく説明して、老後は安心できるシステムをつくりますと、しっかりとリーダーが国民に明るく思わせることができたならば、私はこの国、少しみんな物を買うようになると思いますよ。これが1つの大きな景気対策です。
ところが、それがあんまりわかっていないようなリーダーもいて、介護は家族の美風だから家族でやれと。そんなもんじゃないですよね。さっき言った2%の寝たきりになったら、何ぼ家族で愛情があっても支え切れないときが出てきますよ。いくらいいお嫁さんでも、毎日、24時間徘回老人や寝たきり老人の面倒見ていたら、自分の夫のお父さんだけれども、ほんとうに憎くなる。それほどつらい。憎く思ってきた自分の心がまた嫌になる。そして自己嫌悪になる。ノイローゼになる。そういうときに1日1時間ヘルパーが来てくれたらどんなに助かるか。1週間に2日、ちょっと短期で預けるところができたら、その間、女子高時代の同級会にも行けて、何とノイローゼが治ることか、というのが実態でしょう。私の山形県は保守的なところだからお嫁さんが見ていますよ。でも、それが家族の美風でやりなさいなんて言われたら、「いいです。私はやっていますけど、家族の美風でやりなさいと言った人は私の苦労をわかっていない。うちは代々自民党だけど、加藤さん、今度、あんたには入れるけど、自民党には入れませんからね」と激しい口調で言われました。つまり、みんな現場をわかっていないのかもしれません。介護保険だって24時間介護するってわけじゃなくて、繰り返しますが、1日1時間来る。そして、1週間に二、三日ちょっと行ける通所施設、こういうものを整備するんであって、ということをしっかり国民に説明しながら運営していったら、何ぼ明るくなることかなと思います。
■ 連作障害で土が固まってしまった日本経済
私が申し上げたいもう一つの不安は、国の不安です。この国は将来大丈夫か。大丈夫ですよ。といったって理由を言わなければだめでしょう。25年前のイギリスはどうでしたか。イギリス病と言われて人々が働かなくなって、そして、労働組合が跋扈し、大英帝国ももうこれまでと言われたじゃないですか。しかし、今、イギリスは元気いっぱいです。たった25年前ですよ。そうです。たった10年前のアメリカはどうだったでしょうか。もう自動車は日本に負けて、銀行は中小ばたばた倒れて日本の銀行が買い取って、三菱銀行や東京銀行がカリフォルニアの銀行を買い取ったなんていうのはしょっちゅう記事に載ってたじゃないですか。そして、アメリカのニューヨークの有名なロックフェラーセンターというビルディング、東京の丸ビルみたいなものを日本の有名不動産会社が買い、有名なゴルフ場、カリフォルニアにあるペブルビーチゴルフクラブ、日本の資本が買い取って、みんな青くなったわけですよ。で、どん底にいたアメリカでしたけれども、今や世界経済の中でひとり勝ちです。だから、国の勢いにはリズムがあるんですね。アメリカやイギリスが持ち直したことが、なぜ日本にできないんでしょうか。できると思いますよ。しかし、そのためにはそれだけの潜在的な能力がなきゃいけません。持ち直すだけの金がなきゃいけません。あります。お金は十分にあるんです。それから、技術開発力もあるんです。最近ついてきました。それから、すばらしい1億2,500万人、教育水準の高い日本人がいます。
だけど、この3つの種が花開かない。なぜか。植えておく土地がかたくなっちゃったからです。堀之内さんと私は農林族です。私は山形県の庄内平野で米どころです。農家のおじいさんが私に時々教えます。「代議士も農林議員としていろいろ勉強してきて、だんだんわかってきたのは何となく我々にもわかるし評価する。しかし、あんた、百姓やったことねえだろう」「それはありませんよ」と。「1つだけ教えてあげる。どんなにいい種でも植える土地がだめになっちゃったら花開かないよ。緑ふさふさにならんよ。特に同じ作物を同じ畑に何十年植えて化学肥料をやり続けてごらん。連作障害が出て育たない。そのときには土をひっくり返して空気を入れて落ち葉を入れて、一番いいのは堆肥を入れて、そしてかき混ぜる。我々百姓、農家から見りゃね、ホワッとした食べたくなるような、やわらかな豊かな土になる。そこに種をまくとホウレンソウは青々と、キャベツはぐっとかたくしまって、球根は赤、青、黄色、見事に花が咲く。勢いのいいチューリップが出てくる。土づくりって大事だよ。政治も似たようなことかもしれないね。日本の土をよくしておかなきゃ、豊かでやわらかくしておかなきゃだめだよ」。75歳ぐらいのおじいさんだったけど、僕に集落公民館で、国会報告の後の懇親会でこんなことをやってたら方言でそんなことを言っていました。時々それを思い出すんです。日本というのは、どうも土が固まったんじゃないか。
■ 産学一体となった科学技術開発が日本経済再生の鍵
例えば、アメリカがなぜ最近景気がよくなったかというと、情報産業と金融技術力ですが、これは端的に言うと、大学の基礎研究と民間の会社が一緒になって交流して産学協同でやっているわけです。アメリカのカリフォルニアにシリコンバレーというところがあるんですが、そこにあるスタンフォード大学というところの基礎研究と、マイクロソフトのビル・ゲイツたちの商売する人が融合して一緒になってだーっとあれだけの商売になって、たった12年でビル・ゲイツの会社はゼロからトヨタ自動車の売り上げの3倍までいっちゃったんです。それが起きているんです。ボストンというところでは、ハーバード大学というところとMITというところが基礎研究し、その近辺にある農薬会社、種子会社、製薬会社と一緒になって大学の教授が製薬会社の幹部か何かになって経営に参画してどんどん共同でやっているから、次から次へとがんの薬を見つけたり、そのうちいろんな心臓の薬を見つけたりしている。アメリカでは一緒になってやることがいいことだと思ってやって景気がよくなっているんだが、日本ではそれをやると犯罪なんですよ。だって、日本の大学はほとんど国立大学、国立研究所で、そこの教授が製薬会社と一緒にやったりすると逮捕されるんです。去年も2人、有力な名古屋大学の医学部の教授と防衛大学の医学部の教授が逮捕されました。向こうでは景気がよくなる話、こっちじゃ犯罪ではたまったもんじゃないですか。だから、そのような壁を直していかなきゃいけない。
そうすると、大学というのは国立大学でなきゃいかんのかねという話になっちゃう。少なくとも人事院の規則は直してもらわなきゃならんし、少なくとも大学の講座制で主任教授がいて、あとみんな弟子みたいになっている仕組み、若手研究者が伸び伸びとやれないという仕組みは直さなきゃいかんのじゃないかということになります。そこを直せばいいんです。しかし、直そうと思ったら大変ですよ。大学の先生たちの抵抗がある。しかし、それを直せば伸び伸びとするんです。花が咲いていくんですよ。これはお金がかかる話ではないんです。景気をよくするためには財政がお金を使わなければ、国が財政支出をしなければ景気がよくならないと思い込んでいると、私は将来の見通しが暗くなると。金を使わなくてもできるところはいくらでもあるということ、国の財政が金を使わなくてもやれるところがいくらでもあるということに早く目を向けないと、将来はよくならないと思います。
■ 携帯電話需要がGNPを0.6%押し上げた
もっと具体的な話をしますと、今、携帯電話というのをみんな持っていますけれども、5,400万台あるんだそうです。それで、女子高校生なんか、よく話してますけど、あの電話料幾らか。だれが払っているか。多分お母さんが払っているんじゃないかと思うけれども、大抵月平均1万円から1万,000円使っているようですよ。それぐらいは使っている。支部長のお孫さん、何ぼ使っているのか知りませんがね。そうすると、1年間に20万円ですよ。これで5,400万台掛けたら10兆円になっちゃうんですけれども、そこまではいかんでしょう。少なくとも2兆、3兆の金額が、あの電話でGNPに付加されているわけです。ということは、0.6%ぐらいです。このために政府が何をしたかというと、お金を使ったわけじゃないですよ。予算配ったわけではない。5年前に規則をちょっと変えたというところでこれだけになっちゃった。政府、文部省が一生懸命指導したわけではないんです。ただ、規則を変えただけです。
ことしの12月からデジタルテレビ放送というのになります。ものすごくきれいなテレビになるんです。そのためにはチューナーという何かを買わなきゃならないそうです。3万円から5万円するんです。それはきれいになったらみんなそれを買いますよ。さらに一層それをきれいに見ようと思うと、新しい横長のテレビが欲しくなる。これだと20万円から30万円なんだそうですが、おそらくあんなにきれいに映るなら買おうという人が、私はごーんと出ると思います。そうしますと、これはおそらく数千億から1兆円、2兆円の話になっちゃう。何も国でお金を使うわけではない。ただ、そういう規則にしましょうと郵政省が決断すればいいわけです。そのためにはいろいろあるんですよ。地方のテレビ局の経営がおかしくなるからとかいろんなことがあるんだけれども、しかしそれに踏み切ってしまえば政府がお金を使わなくても国民はいいテレビを見れて、商売はよくなって、いろんなメーカーは技術発展してと、こうなるわけです。
だから、私は、今や畑をやわらかくしよう。そして、それをやれば日本の将来は夢満々だと、こう思うんです。今、東京大学の工学部と東北大学の工学部では1ミリのロボットをつくろうと思って頑張っています。マイクロマシーンという分野です。1ミリのロボットをつくって何をやるんだと。今、これぐらいのロボットができているわけだから、それをだんだん小さくするのは日本のお手の物だというのでちっちゃくして、1ミリのロボットをつくって血管の中に送り込んでコレステロールのそうじと心筋梗塞の詰まりを治して無事生還させるんだと。でき上がると、1台というか、1匹2億円ぐらいで海外に売れていく。手のひらの上に数千億から1兆円のGNPが乗るわけです。というようなことを夢満々で学者たちはやっているわけです。それはやれます。だから、人づくりです。科学技術の発展と、宮崎に来たから言うわけではないんですけれども、自然を大切にする、神様のもとで自然とともに共生するという日本の歴史と伝統、文化の基礎、それを心に入れながら、日本人のアイデンティティーにしながら、自然との共生──自然を壊そう、克服しようというのではなくて──そこでともに生きていこうという哲学を持ちながら、基礎科学研究をやりながら知恵で勝負していく。世界の中で最も豊かで、世界の中で人間として最も賢く、そして、商売でもしぶとく、そして自然との関係で最も尊敬の念を自然に持ち、きれい好きであるような日本人として生きていったならば、アジアの人々もまた再び我々に目を向けてくれるだろうと思います。日本は大丈夫だと私は思います。十分にやれると思います。
■ 長期的ビジョンをもって経済構造改革に取り組もう
ただ、そこに至る経過では手術が必要です。土を直そうと、ひっくり返して砕いて堆肥を入れている間に、ちょっと埋め込んであったチューリップの球根をがさっと傷つけてしまうかもしれない。そういうことってあるんですよ。改革の悲鳴が聞こえるかもしれません。しかし、それを耐えてもらうには、政治家がこの改革というのはこういうビジョンのもとで必要なんだということをしっかり訴えることができたならば、国民の皆さんがその苦しみに耐えていただけるかもしれない。いただかなきゃいけない。そこをしっかりと腹を据えてやらなければいけません。日々、その日、景気がよくなるということだけで政治をやっては、私はいけないと思います。景気対策か財政再建かという2つのウサギ、二兎のどちらを追うかという選択ではありません。国がすべてやれるのか。それとも民間の活力を生かしながら、長期的なビジョンを持ってこの国の経済の改革に取り組むのか、そういうウサギを追っかけるのか。それとも、効果が半年か1年しかきかない財政出動でこの現状を糊塗するのか、実は選択は、その2つのウサギの間の選択ではないかと思います。
そのためには、この国の将来のビジョンをしっかり持たなければなりません。そして、持永さんにはその2つの不安のうちの1つ、将来の人間の生活、老後についての不安についてしっかり国民に語っていただき、語る前に政策と哲学を決めていただき、そして仲間の国会議員を指導しながら全国に説得に走り回ってもらう、そういう仕事を今もやっていただいておりますが、ますます重要な責任を持ちながら、この次の選挙もやってもらえるように私もしたいなと、こんな夢を描いております。どうぞ皆さんから、この支部の発展を支えていただき、そして、どうぞ持永さんの選挙をしっかりとご支援いただきますことを心からお願い申し上げまして、ごあいさつにいたします。どうもありがとうございました。(拍手)