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2000年11月12日 朝日新聞 朝刊


声出さぬ 自民は危機
〜 加藤紘一インタビュー 要旨


聞き手/編集委員 星 浩
   

 

自民党の加藤紘一元幹事長が11日夜、東京都内で朝日新聞のインタビューに答えた主な内容は次のとおり。

― 今の心境、思いを。

【加藤】 日本の政治はいま、非常に危機的な状態にある。エネルギーのない政治を変えられない与野党に、国民があきらめにも似た無力感を感じている。自民党ではほとんどの主流派の人も、不支持率7、8割の現内閣を支えていいとは思っていないが、みんな声を出さない。そこに、危機的な状態が表れている。森批判の域を超えて、自民党の内部そのものが問われ始めた 

【加藤】 来年の参院選まで待つとか、森政権を持続した方がいいとか、それぞれの立場で計算していたら、国民からそっぼを向かれる。私の発言をきっかけに、昨日、今日、多くの人がいいとか悪いとか言うなど、いろんな動きが出ている。私にしてみれば、これからかなり厳しい時が続くと思う。長い長い変革への道のりになると思うが、決心を変えずに進んでいく 

― 森政権に対する退陣要求ですか。

【加藤】 はい。今の森政権のままでは、我が国が壊れていく。国際政治からだんだん消えていく気がして仕方がない。日本のイメージが劣化しつつある 

― 最終的に森さんと加藤さんの話し合いで収拾することはありませんか。

【加藤】 そんな簡単なもので決着がつくだろうか 

― 保守本流として自民党内で改革を目指すと言ってきたが、場合によっては自民党の枠にこだわらないのですか。

【加藤】 まず自民党の中で危機意識を訴え、説得したい。それで変えることができなければ、その他いろんな道を枠を広げて考えていかなければならない 

― 支持は広がっていきますか。

【加藤】 党の同志に対するメッセージは『国民の7割から8割がノーと言っている内閣を、いくら自民党の議員であっても、信任し続けられますか』という簡単な問いかけだ。広がっていくと思う 

― 内閣不信任案で執行部方針に反すると除名や処分の問題が出てくる。新党とか新会派とかの展開も覚悟していますか。

【加藤】 今後の展開は私にも読めない。しかし、長い長いドラマの始まりだろうなと思っている。我が国を変えなきゃいけない、国際的に尊敬を集められる国にしなけれはという強烈な意識を持たなければ続かない 

― 参院選まで待てば出番もあると、いろいろなところから言われたと思いますが。

【加藤】 その前に日本の政治が壊れ、自民党の基盤が崩れるのではないか。私はよく保守本流と言うが、地域社会などの運営に責任感を持って対応し、サポートしている人たちがこの国を支えてきた。その人たちから自民党が見放されつつある 

■ 橋本派とは調整可能

― 橋本派との関係は。

【加藤】 橋本派は自民党の中で非常に大きな勢力だし、仕事をする人たちが多い。もちろん一緒に協力していきたい。橋本派の人たちにもぜひ、いまこのままじゃだめなんだと口にしてほしいと思っている 

― 橋本派は、加藤さんと山崎拓元政調会長との関係をよく思っていません

【加藤】 今の我々が直面 している問題からみれば小さな小さなことで、どうにでも調整可能なことだ。いま私たちが問われているのは、この国の危機をどうするのか、それから国際社会の中で落ち込んでいく日本をどうするのかという話だ 

― 政策の優先順位 は。

【加藤】 携帯の通話料がほぼゼロから9兆円にまでなった。住宅産業が12兆円、国の公共事業が10兆円弱だから、いかに大きな変化がGDP(国内総生産)の世界で生まれているかに早く気づいて、NTT法改正などを抜本的ににやらなければならない。最大テーマは個人消費の低迷だとやっと皆が気づいてきたが、老後への不安が消えないと財布のひもが開かない 

― 総選挙直後がチャンスだったのでは。

【加藤】 2カ月、3カ月で首相が代わっていいのか。仲間うちの話し合いも十分でなかった 

― かつて福田赳夫さんが、加藤さんの師である大平正芳さんを攻めた。保守本流が攻守を変えましたね。

【加藤】 保守本流には定義がない。地域の見識と責任を持ったリーダーたちと、それを支える広い庶民の意識によって立ったのが保守だ。いまの政治はしっかり国を考えている多くの国民の常識からあまりにも離れている。もう一度常識のある国民の間に戻ろうというのが基本的な意識だ 

― 大平さんが今回の行動を見ていれば、どう言うでしょうか。

【加藤】 おれが福田さんや安倍(晋太郎)君にやられたことを、いま君がやろうとしているのかとニコニコ笑うかもしれない。不信任案は技術的なこと。大平内閣不信任案は自民党がまだ安定政権にあり、派閥抗争にすぎなかった 

 

── 了 ──

 

 
 
 

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