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2000年1月28日 ニュースステーション出演


ニュースステーション出演

 

2000年1月28日、加藤紘一代議士は全国朝日放送のニュースステーションに出演しました。

この中で代議士は、定数是正法案をめぐり野党が国会審議を拒否する中で、予算成立後、前のサミット前の解散・総選挙の可能性が3割から5割に高まったとの見通しを示し、自民党は次期総選挙で単独過半数を目指すべきとの考えを示しました。また、政策面では、学生がもっと面白く勉強できるような大学教育改革と、経済構造改革の必要性を視聴者に訴えました。

以下、司会者、コメンテーターとのやり取り(一部省略)を掲載致します。

 

■ 野党の審議拒否は古い国会闘争のパターン

【司会者】 よろしくお願いいたします。

【加藤】  よろしく。

【司会者】 今まで中継でお話ししたことはあるんですが、直接お目にかかるのは今日初めてのようなんで、よろしくお願いします。

【加藤】  よろしくお願いします。

【司会者】 今日、小渕総理の施政方針演説があったんですが、野党席が空席で、こういう景色というのは、憲政史上初めてなんだそうですけども、何かお感じになりました? 野党のところががらーんとあいているところで内閣総理大臣が施政方針演説をやっているという。

【加藤】  やっぱり寂しいですね。歴史上初めてだっていうことは、そうですけども、やっぱりちょっと異例ですし、寂しいと。ただ、それでいろいろ考えるんですけれども、やっぱり審議拒否というのはよくないと思いますよ。昨日の審議拒否から始まってきたわけだけれども、結局、古い国会闘争のパターンなんですね。今、土井さんと不破さんと鳩山さんの街頭演説聞いてましたけれども、やっぱり僕は55年時代を思い出しますね。ですから、やはりこれからは論争してね、どんどんと国会の中で、言葉で勝負をすると。それでいろんな部分があったら、それは選挙で判断が下されるんだと、僕は思います。

【司会者】 ただ、野党側は、自自公という、ややイレギュラー的な、あまりにも巨大過ぎる与党に対して、もう戦うすべもないと。ただし審議拒否はするけど、ピケットラインを張ったり、牛歩戦術をとるようなことはしないけど、審議には応じないんだという姿勢を変えそうもなくて、このシーンをはじめとして、これからの国会審議の予算成立まで、多分、野党側は今のままの勢いだと、ちょっと首を縦に振るっていうポイントが見つからないんでね、審議拒否は続けていくと思うんですけど、あまりにもこれは解散に一歩近づいていくなという景色のような気がしてならないんですけど。

【加藤】  そうですね、ちょっと深刻っていいますかね。僕はまだ解散というのは先だっていうふうに見てたほうですけれども。予算成立後が3割、サミット後、秋7割ぐらいに言っていたんですけど、今、五分五分に、昨日から変えた感じですけどね。

【司会者】 ああ、そうですか。

【加藤】  だから、やはり緊迫してきたと思いますよ。しかし、私は、今度、何解散というんだろうと。例えば、今、突然ここで何かがあったとすると、定数是正解散、後世の歴史家にわかるでしょうかね。

【司会者】 これはわかりにくいですね。

【加藤】  わからない。

 それで、これは民主党はね、定数是正したほうがいい、特に比例区を減らしたほうがいいという政治改革理論派なんですね。それが、何となく反対していると。なんだかちょっとこれ、動きがよくわからないんですね。永田町の中の中心部分にいるような僕でも、新聞読んでよくわからないなと、こう毎日思っちゃうわけですから。

【司会者】 加藤さんが新聞読んでわからなかったら、一般国民が……

【加藤】  わからないと思います。

【司会者】 わかるはずがないですね、それは。

【コメンテータB(以下B)  ただ、加藤さん、そうおっしゃるけれども、実は事態は加藤さんが鶴岡の演説でおっしゃってた、恐れていることに近づいているんじゃないかという気がするんですよね。今、定数是正解散とおっしゃったけれども、これがまさに自自公の是非を問う解散になっていく。つまり定数是正法案そのものが、自己を守り、それのイチジクの葉として自由党をくっつけておくための法律だったわけですから、まさに加藤さんのおっしゃっていた自自公が今、争点になっているってことじゃないんですか。

【加藤】  まあ、自自公がなっているのか、選挙制度がなっているのか、それからその背景にある、まあ、いずれにしろ、とにかく選挙が近いから、何でも対決にしちゃうという国会の中の形が、こういうふうに出てくるのか、それはよくわからないし、国民の皆さんの判断によると思います。

【司会者】 山形の演説の中で、自自公を争点にして総選挙をやるようなことになると、自民党が非常なダメージを受けるとおっしゃってますよね。そのことに関しては、もう、あまりお繰り返しにはならないようですけど、なぜそういうことに、自自公を争点にすると自民党がダメージを受けるのかと、加藤さんがお考えになっているかがわからない人もいらっしゃるかと思うんで、ちょっとこれ解説していただくとどうなります?

【加藤】  詳しくはホームページを読んでもらいたいんですけれども。

【司会者】 私、持ってるんですけどね。

【加藤】  はい。自民党のホームページからもリンクしてますから引いていただければいいんですけれども。

 そうですね……。私は、公明党もしっかりとした政党だと思いますよ。特に核家族とか、都市住民とか、自民党ではなかなかアプローチできない人たちによく話し合って、そこからいろんな意見を吸収してくる。これはまた我々にないところです。それから自由党は、小沢一郎さんの強烈なリーダーシップで、個性のある政党ですから。ただ、そこと一緒になるにはそれなりのプロセスを経ないと。例えば私の場合には、いつも言っていることなんですけれども、自公の場合には閣外協力から始めたほうがいいでしょうと。それで地域で、なかなか公明党の人たちと自民党というのは、うまく反りが合ってないんですよ。ですから、そこの地域で合ってない部分を永田町の都合だけで一緒にしちゃうと、ちょっといろいろ、まあ、自民党支持者がちょっとがっくりくるとこがあるからということを従来から言ってるんですけどね。

【司会者】 その辺は、関西の府知事選とか市長選で、今、弊害が出てきてるようですね。

【加藤】  いろんなところで出てくるんで、だから私は総裁選挙のときに部分連合がいいだろうと言いましたし、まあ、それ、同じことですからもう繰り返しませんけどね。総裁選挙で僕が多数とってれば、もっといったんですけどね。

【司会者】 でも113はすごかったっていう、今、数字がありましたけどね。

【加藤】  あれは私の予想よりはちょっと多かったんですけど。


総選挙の自民党勝敗ラインは単独過半数

【司会者】 その話の続きはちょっと……、先にお伺いすることにして、とにかく、さっき50・50まで比率が上がってきたとおっしゃいましたが、とにかく年内秋までには総選挙はあるわけですね。加藤さんとしては──これが今の勢力図なんです、衆議院の。

【加藤】  ちょっと見せてください。

【司会者】 自民党が解散・総選挙の結果──勝敗ラインですね、どの辺までとれば、自自公でいくつというふうには加藤さんはおっしゃらないと思うんですね、自民党が何議席。でも、これは480になる可能性が高いんですが、分母が480で、何議席とれば、自民党が勝つ……。

【加藤】  それは過半数です。自民党で241、それを目指すべきでね。

【司会者】 すると、これ27減ってもオーケーなわけですね。

【加藤】  まあ、今いろんなところで状況厳しいですからね。ですから241、過半数を目指すと。これが政党、特に第一政党の目指すべきところだと思うんです。それを目指してとれなかったという場合だってあると思いますよ。しかし、それは一生懸命やればですね、そんな自民党の中で責任論なんか出ないんです。だから、今のうちからね……。

【司会者】 今、責任論の話をしようとしたばっかりなんですけどね。

【加藤】  だから、今のうちから責任論を先取りして、まあ、220ぐらいでいいとか、215でいいだろうとかやっちゃうと、それはものすごく馬力が出なくなります。

【B】   ただ、241といいますとね、議長を出す。そうすると政権をつくるためには、やっぱり連立を考えなきゃいけないということになりませんか。

【加藤】  いや、241とれば大丈夫です。

【B】   指名はできますけれども、しかし、それだけで、かつかつで政権運営というのはできないでしょう。

【加藤】  いや、それはそうです。今351あっても、与党の言うとおりにならないということはありますからね。ただ、とりあえず政権をつくると。そこから先には、どういう連立をつくるのか、そのときまた討論だと思いますけれども、私は常に部分連合みたいな形がいいんじゃないかと、衆議院で過半数をとってればというのが私の従来からの主張です。

【司会者】 あまりややこしい政策論議をしても、テレビを見ている方もおもしろくないでしょうし、私が一番お伺いしたいところは、加藤紘一さんは総裁選にも去年の9月にお出になったわけだし、当然目指すところは、加藤政権をつくりたいということでいらっしゃいますよね、政治家として。

【加藤】  はい、そうです。

【司会者】 その加藤政権をつくるまでの道のりをどう計算してらっしゃるのかということを、今日お尋ねしたいんですが。一応オーソドックスなスタイルとしては、先ほど責任論に話が及ばなかったんですけれども、例えば241を下回った場合には、当然小渕さんは責任をとると私は思うんですね。

【加藤】  そうですね、そのときの党内の雰囲気で。例えば前回、私は衆議院の選挙をやったときに幹事長でしたけれども、251、過半数とると言って、結果は239でした。至りませんでした。でも責任論は当時は出なかった。なぜかというと、やはり一生懸命やって、みんなで心を一つにしてやった場合には、そうそう責任論というのは、一部に出ても大きくならんもんなんです。

【コメンテータC(以下C)  241とらなくても、とれなかったときに、小渕さんが責任とらなくていいケースも出てくるんですか。

【加藤】  まあ、そのときの状況でしょうね。

【C】   今ぐらいだったら、大体予算が終わるぐらいだったらば、とらなくてもよさそうなんですか。

【加藤】  今265あるでしょう。だから、この場合はいいと思うんですね。

 ですから、私はやっぱり241、その辺が若干ずれても、そんなにすぐ責任論というものではないと思いますよ。ですから、それは党内のまとまり方の問題です。

【司会者】 責任論が出てこなければ、解散後の召集された国会で首班指名に打って出るかどうかという問題が出てきますよね。

【加藤】  小渕さんが?

【司会者】 いや、加藤さんです。

【加藤】  まあ、そのときの状況というのはわかりません、まだ。

【司会者】 一番オーソドックスなスタイルとしては、次の総裁選でもう一回立候補すると。

【加藤】  そうです。それが一番オーソドックスな形でしょうね。

【司会者】 少し時間がかかり過ぎるというふうには思わないですか。

【加藤】  いや、その間にちゃんといい政策をやってれば、私たちは総裁をサポートするのは当たり前です。ですから総裁選挙というのは、私は実は1年前ほど、こちらの放送局の「サンデープロジェクト」で、私は総裁選挙というのは、このいすを奪い合うための戦いというのもあるでしょうと。しかし、我が党の中にいろんな将来ビジョンがあるという論争する場としてやるのもいいでしょうと言ったら、何かわけのわからないことを言っているな、なんて言われましたけれども、やはりこの国の将来をどうするかというのが、今国民一番心配なところなんですね。自民党の総裁がだれかというのは、まあ、国民から見ればどうでもいいけども、もっといい政治を、明るくなるようなビジョンを出してくれということですから、それを論争しようと思ってやったわけです。

 ですから今度の、今日の小渕さんの施政方針演説でも、かなり我々の主張しているような部分が、例えば教育の問題とか科学技術の問題とか、そんなところ、それから英語教育のところとかね。大分取り入れられておりますので、そこは評価したいと思います。だから、それを本気でやってほしい。


大学教育はもっと面白いものにすべき

【司会者】 加藤さんは、やっぱり政治家としては、こうやって拝見すると変わってらっしゃいますよね。

【加藤】  変わっている?

【司会者】 変わっていると思います。論争とおっしゃるし、先ほどのホームページの、今年になって北海道大学で講演なさった……。

【加藤】  しました。

【司会者】 しましたね。あの中で、実は政治家ではなくて、ほんとうはどこかで学者になってもいいんだというような部分が自分の中にあるっていうことをおっしゃってたりなんかしますね。学究の徒になってもいいんだと。それほど勉強と学問はおもしろいものなんだと。

【加藤】  アメリカにいたらそう思ったと。日本じゃ勉強というのはつらくてつらくて大変だったと。

【司会者】 ですからね、中国語で読むと「勉強」は勉強じゃないと。

【加藤】  中国語で言いますとね、「勉強」という字は「ミェンチャン」というんですけど、嫌なことを無理やりさせるという言葉なんですよ。

【司会者】 韓国では「工夫」って書くんだそうですね、勉強を。

【加藤】  中国でも「工夫」とかね、韓国でも「工夫」。

【司会者】 あと「工作」でしたっけ、中国語は。

【加藤】  「グンヅゥオ」、そうですね。

 だから、中国でも韓国でも、学び、考えることは楽しくて楽しくて、推理小説を読んでるみたいな話だなと、こうなるんですけど、なぜか日本ではみんな覚え込むことだから、強いられて、おもしろいと思ったことあります? 勉強、昔、昔。

【司会者】 1年に一遍ぐらいですかね。

【加藤】  ところがアメリカに行くと不思議にね、そんな私でもね、これは学究の徒になってもいいなと思うぐらいにおもしろく勉強させられるように誘導されちゃうんですね。だから、僕は日本でもそういう教育やれないかなと。で、考えてみれば……。

【司会者】 それは、実は日本の国の構造を変えればそうなるんだと。大学の構造を変えただけでもそうなるんだという。

【加藤】  そうです。大学講座制とかね。偉い教授がいて、その下に助教授がだーっといて、そんな伸び伸びやってない。今、これは経済の話にちょっと入っちゃいますけどね、アメリカが過去10年経済よくしたのは何かというと、金融技術力と情報産業のところで、大学の研究室と会社の産業と結びつけちゃったからです。それはなぜかっていうと、あそこは私立大学でしょう。ハーバードでもプリンストンでもイェールでも。それで普通の産業でしょう。これができる。日本はその風習がない上に……。

【司会者】 公務員ですからね。

【加藤】  公務員。国立大学だし、国立研究所だから。変なことをすると、去年も有名な医学教授が2人特捜部に逮捕されましたけど、ああいうことになっちゃう。だから、そこを直せば、いろんなことを発展の可能性があるでしょうと。何も政府がお金を使わなきゃできないということじゃないでしょうと。


保守本流の立場から自民党を改革する

【司会者】 ちょっと話が散漫になってきたので、少しまとめたいんですけど。

 野中広務さんがいらっしゃったときに、加藤さんに対して、自自公を争点にしちゃいかんということに関して野中さんがお怒りになったときに、野中さんが「加藤さんが自民党を割って、民主党と再び一つの政党を再編成するようなところまで考えているんだったら別なんだが」とおっしゃってたんですよ。

 さっき、我が党は、自民党はこういうふうに議論している、ディスカッションしている党なんだっていう話がありましたが、自民党を割ってまで加藤政権をつくるという気は、加藤さんには……。

【加藤】  ありません。私は、自民党の中心的な、何ていいますかね、保守本流と言うとみんな怒るけども……。

【司会者】 先ほど池田勇人さんの話が出ましたけどね、宏池会の出身でいらっしゃるから。

【加藤】  つまり保守というのは何かというと、この国の政治に責任を持って、少し格好悪いことでもやると。ポピュリストにならずに。それでお金が足りないときには国民の皆さんに訴えて、税金上げさせていただくという勇気を持つというところだと思いますよ。地域とか国に対する責任感みたいなとこですね。

 やはり今の野党は、どちらかというと、発生的に要求政党の側面があって、我々はやはり責任を持つ側だなと思ってるもんですから。

【司会者】 ただ、民主党の場合は、そんなに自民党と距離あるようには私は思わないんですけれどもね。

【加藤】  そうですね。最近の民主党の指導者には、かなりなかなか責任感持ってね、国際金融の面でしっかりやんなきゃいけないとか、日本から金融パニックを輸出しちゃいけないと言って、泥をかぶりながらやってくれた人もいます。菅さんの1年半ぐらい前はそうでしたね。

【司会者】 自民党と、もし自由党がどんと合併したりなんかっていう合併論がありましたけど、自民党と自由党がどんと合併したら、加藤さんたちが今度自民党から出て、ぼーんと民主党に行っちゃうような気がしないでもなくて、また保守党が2つ新しいのができるかなと。

【加藤】  よくそんなこと言われるんですけれども、私はそれは考えておりません。

【司会者】 それ望んでいる支持者はいませんか。

【B】   支持者よりも、つまり今おっしゃっていることは、非常にソフトで耳触りはいいんですけれど、まさに保守本流でいらっしゃる。でも、自民党を割っても国をよくするためであれば、私はやるという気概がどうも加藤さんから感じられないというのが、世論からの食い足りなさ、失礼ですけれどもね、食い足りなさになっているんではないかという気がするんですよ。

【加藤】  よくね、みんな言うんですよ、党を出ろと。それで党を出て、そしていっときの風が吹く、いっときの人気が出る、食い足りる。しかし、それで全部終わってしまう。そうでしょう。今までいろんなケースありましたね、新自由クラブから始まって。その人たちが党に残って、必死に、損なことでもいいから党内で主張してやっていたら、自民党はもっと変わっていたと思いますよ。

【B】   ただ、いずれにせよ、自民党も結党されてから四十数年たって、そしてその当時と比べて、加藤さん、自民党はどんどんよくなっているとお考えですか、それともだんだんだめになっているとお考えですか。

【加藤】  基盤が変わってますからね。非常に危機感を持っています。地域の、まあ、何ていいますか、良質な信望家たちが集まって、そういう中からリーダーが生まれて、その上にできているのが保守政党みたいなものですが、その基盤、つまり地域コミュニティーが、ほんとうにばらばらになってないか。例えば中心商店街は、今、人がいなくなって郊外店にみんな人が行ってますしね。それから町内会といったって、みんながそれでまとまるようなものではないし、特に若い人はつかないし。そのかわりNPO活動で、何ていいますかね、このまちの川に蛍を取り返す運動なんて、地域を超えて何かやっとるんですね。だから、ああいう地域コミュニティーの活動にしっかりと目を向けられるような自民党に変わっていかないと、私はよくないと思っています。

お金を使わないで景気を良くする方法はまだまだいくらでもある

【司会者】 経済政策に話を少し絞っていきましょう。これ、大蔵省の試算なんですけどね。日本の財政赤字の問題なんですが、あと5年後、2005年度に名目成長率が、1.75と3.5と両方、倍の場合と計算してるんですけど、491兆円というものすごい国家財政赤字なんですね。これ、景気がよくなると財政赤字が減るかというと、実は大蔵省の試算ですと、成長率が高いほうが財政赤字の累績が大きくなるんですね。ほぼ500兆円ですよ。地方が大体300ぐらいだと計算すると、2005年に800兆円。信じられない赤字を抱え込んでしまうんですが、これに対してどうしていけばいい。

 まあ、これ、わかってるんだけど、小渕さんは、この財政再建を今言い出したんではいかんと、今は癒しの財政で、財政はどんどん支出するんだと。しかし、今それをやったらちょっとという自民党の方も増えてきましたし、国民も、もう最近、過半数以上の人が、これ以上の財政出動はちょっとやばいんじゃないのと思い始めているんですよね。

 加藤さんは、どうお考えですか。

【加藤】  極めて近い話として心配しなきゃいかんのは、もうそんな国の借金証書は、よっぽど金利を高くつけてくれないと買いませんと、国民が思って、日本国民がですよ。そうした場合にいろんな金利がどっと上がる、長期金利が上がるというわけで、会社なんかで猛烈にお金借りているところが、ものすごい経営困難になっていくわけですね。

【司会者】 たしか去年の9月の総裁選のときも、長期金利が上がることを防がなければいけないとおっしゃってましたね。

【加藤】  そうです。ですから、その危機感を持たなきゃいけないというのと、それから、こうやって、例えば久米さんがこの番組でそうおっしゃるでしょう。そうすると20歳代の人が、「おっ、自分たちの年金、将来30年後、40年後はだめかもしれない」と。

【司会者】 いや、800兆というのはね、実は計算してみると絶望的な数字なんですよ、もう。

【加藤】  ええ、なっちゃうから、そうすると今から物を買わないで自分で貯金しておこうと、自己防衛に走る。すると、今景気をよくするには何が必要かといって、GNP500兆のうち300兆というのが、みんなが物を買う、個人最終消費っていうやつですよ。

【司会者】 ここで何のお話をお伺いしたいかといいますと、財政再建と構造改革の違いをちょっとお話しいただきたいんです。加藤さんは、構造を変えなきゃいかん、構造改革をすべきだとおっしゃっているんですよね。

【加藤】  そうです。こっちのほうが大変、こんなになっちゃったから、お金を使って景気よくできれば、それでもいいけれども、単にカンフルだから、やはりお金を使わないで景気をよくする、経済の力をつける方法っていうのはいっぱいあるはずだから、そっちに頭を使うようにしようと。

 例えばね、今、携帯電話みんな持ってるんですけれども5,400万台って聞きましたね。それで女子高校生が1カ月幾ら使うと思います? 1万円か1万5,000円だと思います。年間18万円ぐらい。これで、みんな全員がそう使うわけではないけど、ちょちょっと計算するとね、数兆円の電話代になってるんじゃないでしょうか。つまりGNP1%に近いぐらい。

 じゃあ、あれはなぜあんだけ大きな商売になったか。政府が金使ったからか。違うでしょう。政府が規制をちょっと変えただけでしょう。それから今度テレビがデジタルになりますね、12月から。そうするとデジタルテレビを見るために、コンバーターっていうんですか、3万円か5万円かのものを使う。また、それがセットになっているテレビだと、20万か30万する。それも、デジタルをみんなで見られるようにしようよと、郵政省が方針を決めただけで、お金は全然使ってないけども、これまた数千から一、二兆円の産業になると思います。

【司会者】 その辺のお話というのは、梶山静六さんのお話と同じなんですか。

【加藤】  似てます、似てます。

【司会者】 似てるんですね。

【加藤】  似てます。この間、それでちょっと昼、一緒にうなぎを食べながら議論しましたけども。やはりアメリカでも、さっき言いましたように、そんなにお金使わないで景気よくしてるんですね。もちろんゼロじゃないですよ。研究開発費だってゼロじゃないんですけど。ただ、一般に、亀井さんが言っているように「公共事業でやろう」なぞというのに比べると、10分の1ぐらいのお金なんですね。そこの知恵を使わないといけないよというのが私の経済構造改革なんで、そうすると加藤は、明日から国の借金返せ返せと言っているんだというふうに誤解してますけれども、違うんです。

 私の言っているのは、財政構造改革というよりも、景気よくするためには、経済構造というか、経済の仕組みを変えましょうと、そう言ってるんであって、そういったことに対して、じゃあ明日から何もしなくてもいいかという反論をされると寂しくなりますね。

【司会者】 それがなぜできないんでしょうかね。なぜ規制緩和はなかなか、進んではいますけど、日本では遅々として進まないといった感じなんでしょうか。

【加藤】  そうですね、やはり政治家っていうのは、大きな政府で、政府の力が強くて、それに対して僕らが影響を及ぼせるようにしたほうが、どちらかというとやりがいがあるんですよ。演説のしがいもあるし。


住民投票は議員のだらしなさが原因

【司会者】 一つ聞きたいことなんですが、この間、吉野川の住民投票の問題がありましたが、あれは加藤さんはどう考えていらっしゃいますか。

【加藤】  あれまだまだ十分考え込んでないんですけれども、よく見ると案外技術的なところで、みんながけんかしているんじゃないでしょうか。だから、もっと話し合ったら、解決の方途ができると思います。

【司会者】 住民投票という手段に関してはお認めになりますか。

【加藤】  国全体のことでやったら、一定の住民はみんな反対するということはあるんですね、総論賛成、各論反対だから。だから、あの地域全体でやったらどうでしょう。徳島市だけではなく、その上流のいろんな町村も入れて。

【司会者】 住民投票という手段は、もうお認めになるんですね。

【加藤】  まあ、議員としては認めたくないんです。つまり議員がだらしないから住民投票にするっていうことですからね。ですから、我々は住民投票がなくてもいいような、国会議員や町会議員や、県会議員になるよう努力しなきゃなんないんだと思います。

【司会者】 簡単に答えが出るような質問でした。

【B】   ですから、だけども、これだけはっきり住民投票認めるって言ったのは、加藤さん、珍しい政治家ですよね。

【加藤】  だから、総論でやればいいんですよ。徳島市のことだけやってじゃなくて、その上流のほうの人もみんな一緒になってね。投票するのは一つの参考資料でしょう。しかし、そうならないように、それぞれの県会議員、町会議員が頑張らなくちゃいけないんですよ。

【B】   そういうふうに自民党を動かしてください。

【加藤】  ええ、頑張ります。

【司会者】 3月末か4月の頭に、解散・総選挙が50%ということになりますか、さっきの話を繰り返しますと。

【加藤】  そうですね。4月、5月あたりで50%か、そんなとこでしょうか。

【司会者】 そうですか。わかりました。ありがとうございました。

── 了 ──

 

 

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