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「ビッグバン」と呼んでいる金融の自由化は、金融業界だけでなく日本社会に劇的な変化をもたらすはずです。商品の価格、品質を無視して資本系列が同じだというだけで商売する「系列取り引き」では競争に勝てなくなるでしょう。
複雑な流通経路を通ってきた商品は店頭に並べた瞬間から競争力を失うはずです。競争に勝つためには優秀な人材が必要になります。すでに金融業界を中心に激しいヘッドハンティングが始まっていますが、これからは、あらゆる産業分野に広がって行くはずです。そうなれば閉鎖的な労働市場の象徴と言われてきた終身雇用も変質して行きます。
政府は昨春から6大改革のプログラムを順次打ち出していますが、計画を発表した直後、マスコミは「もっと大胆に歳出削減できないのか」とか「改革のスピードが遅い」などと批判しました。ところが秋になると「改革を延ばしても景気対策をやれ」という大合唱になりました。でも政府は改革を進めます。悲鳴は日本が変わるために避けて通れない軋みなのです。今日、さまざまなところで悲鳴が上がっていることが日本が変わりつつある何よりの証拠といっていいでしょう。ビッグバンと規制緩和の先には、日本でもクールで合理的な思考と慣行が定着しているはずです。
もう一つ強調しておきたいのは、一連の改革で日本の官僚はほとんどイニシャティブを発揮できなかったことです。官僚は過去の延長でしか処方箋を書けませんでした。日本は官僚が方針を決め、政治家は官僚の方針を追認するだけという見方が外国に根強いことは承知しています。確かに、そうした傾向があったことは否定しません。
でも、今度の改革は橋本龍太郎首相を始め政治家が決断して実行しているものなのです。この面でも日本は変わろうとしています。
(米国ESI[経済戦略研究所]会議での講演、98年5月)
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