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経済のグローバル化に伴って新たな問題が生じていることも事実です。中でも重要なのは国際金融資本の問題です。先に述べましたようにアジア危機では1,000億ドル近い富が短期間の内に海外に持ち出されました。これを「資本主義の宿命」といって目をつむるには、私たちは余りにも多くの責任を共有しています。
昨日と同じように真面目に働きながら、昨日は未来に夢を描くことができたのに、今日は仕事を失い、明日の生活にも困るという事態はやはり問題です。
「このまま自由放任型の資本主義を続けていけば、私たちの開かれた社会は崩壊してしまう」と警告したのは、ほかならぬジョージ・ソロス氏でした。国際金融市場で活躍しているソロス氏の口から、問題点が指摘されるところに、アメリカの柔軟さと良心を見た思いでした。
でも、世界経済に責任を負う国々には、これを単なる問題提起と受け流しておくことは許されません。私たちは資本主義に信頼を置きながらも、この暴走を防ぐ方法を一緒に考えて行かなければなりません。それは18世紀のアメリカ人が西部の開拓に当たって馬に絶対の信頼をおきながら、いや、信頼を置いていればこそ馬をきちんと制御したのと同じことと申し上げていいでしょう。
いま国際金融資本は若干暴走気味です。私たちはまだ、この暴れ馬の制御の方法を発見していません。私も具体的提案がある訳ではありません。でも、昨年アジア経済を襲ったハリケーンのような事態が今後も繰り返されるなら、開かれた市場に懐疑の声が沸き上がってくる恐れがあります。開かれた世界市場を実現して行くためにも、私たちは、この問題を直視して行かなければならないのです。
ロディオの伝統があるアメリカと、この問題を一緒に解決して行くことは、日本にとっても極めてエキサイティングな仕事です。私も列席の皆様と共に、わがままだが愛すべき資本主義の新たな挑戦を受けてやろうと思っています。
(米国ESI[経済戦略研究所]会議での講演、98年5月)
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