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どうも今の日本の社会は、ちょっと神経質になっているなと思います。その一番いい例が、今年の1月1日の日経新聞一面です。
たしか「日本が消える」という特集だったと思います。そしてその小見出しに「東京には死相が漂う」とあります。東京には死人の相が見えているというのです。経済、財界の気持ちを代表しているこの新聞の見出しに、ああ、こんなことを書かせるような政治をやっちゃったなあという、反省みたいなものが私たちにはあります。
ただ、私は、前から言っておりますように、今の日本というのは、ビジョンをなくしてしまった、それはおそらく今から12、3年前だろうということを、よくこの雲霓の会で申し上げているのですが、ちょうど宮崎さんが今日おっしゃったビル・エモットという人が、「日本はまた沈むよ」って言ったのが、1989年、平成元年ごろの出版ではないかと思うのです。
あれをよく読んでみますと、おもしろいことが書いてありまして、その前年の1988年、昭和63年に、アメリカが全く今の日本と同じように、アメリカはもうだめになってしまうのではないかと、ものすごい悲観論になっていました。
そしてそのときに、ポール・ケネディーの『大国の興亡』というような本が圧倒的に売れました。大変専門的な歴史書で、みんなこんな分厚い本を読んでいるとは思いませんけれども、とにかく、この国がどうなるかということを先々案ずると、このポール・ケネディの本を買って、そばに置いておくだけで何か満足して、アメリカ人は何百万冊のベストセラーになったと書いてありますけれども、実は、私は、今の日本は1988年、あの10年前のアメリカを経験しているのではないかなというふうに思っています。
アメリカはその後ぐいっと伸びました。当時、一方日本は何をやっていたかというと、アメリカに学ぶものはもうないみたいな、すべてジャパン・アズ・ナンバーワン、エズラ・ボーゲルの世界で、ニコニコしていたわけです。
一方アメリカのほうは、これはいけないということで、必死になってリストラをやったり、いろんな経済政策を打ったりして、今日、株が歴史上最高に来たのだと思います。
(97年1月) 
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