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加藤紘一からのメッセージ 2001年11月5日


工場はどこへ消えたのか?

加藤紘一です。

「代議士、また電子の下請け工場が閉鎖した。仕事はどこに行ったのか」
「なんとか戻って来るよう出来ないか」
最近、地元に帰り、国政報告をすると、かなり頻繁に受ける質問だ。アパレル関係の工場は電子関連より先にその波を受けている。
「中国に行ってしまった。残念ながら、そう簡単に戻っては来ない」
と答えざるを得ない。

先日、7年ぶりに訪れた台湾。そこでも、製造業は海峡を越え中国大陸にどんどん拠点を移していた。製造業の空洞化と失業の増大。1997年のアジア通貨危機の優等生台湾も日本と同様の苦境に喘いでいた。私の選挙区と台湾。どちらも冷戦の終焉の影響を受けている。世界が平和になったのは明るいことだが、自由主義国の雇用には大きなマイナスのインパクトだ。

現在の世界的なデフレ傾向は、1989年のベルリンの壁崩壊に端を発している。冷戦崩壊により、7億人足らずの西側経済圏に約20億人の旧社会主義圏が加わった。旧社会主義国家の人々は、読み・書き・そろばんの基礎教育をしっかり受けており、労働規律もわきまえている。所得水準は、日本の僅か15分の1から20分の1程度という低さ。ベルリンの壁崩壊から当初5〜6年間は自由主義経済体制に入ることにとまどいがあった旧社会主義国も、1990年代半ば以降、良質かつ安価な労働力を武器に世界の生産基地として大きく台頭してゆく。近年、日本の有力電機メーカーは相次いで下請工場を中国に創った。米国のビジネスも中国に幅広く展開。欧州企業は、市場経済色を強めるロシアとの商売を増やしている。今後もこうした傾向には拍車が掛かるだろう。

旧社会主義国の約20億人の所得水準が高まり、消費市場として成長してくれば、巨大な需要を生み出す。いずれ世界経済にとって大きなプラスになるのは間違いない。しかし、今のところは生産機能だけを奪っているだけで、まだ、需要を生み出すには至っていない。その結果、モノの価格下落、賃金の下落が世界的に進み、空洞化とデフレ傾向をもたらしている。

こうしたデフレ傾向は、まだ数年続くと見られる。小泉首相が今年度の国債発行枠を32〜33兆円に増やしても景気がすぐ改善するわけではない。また、日銀に一層の量 的緩和を求めても根本的な問題解決にはならない。わが国に必要な構造改革を一刻も早く進めると同時に、科学技術立国として必要な種蒔きを怠らないという姿勢が求められよう。

 

(2001年11月5日)

 


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