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小泉首相の決断
〜8月15日を避けた靖国参拝〜

小泉首相が終戦記念日の8月15日を避け、8月13日の夕方に靖国神社を参拝しました。
「戦争で犠牲になった方々に、哀悼の誠を捧げたい」
小泉さんの気持ちは痛いほどよく解かります。日本人の一人として、私も全く同感です。
しかし、8月15日に参拝すると、大きな外交問題に発展することは間違いありません。私も、山崎拓幹事長とともに首相公邸を訪れ、8月15日は避けるように説得しました。8月11日の夜のことでした。
小泉さんも、さぞ苦しまれたことでしょう。しかし、最終的には立派な決断だったと思います。
また、15日より後ではなく、前に日をずらしたことも評価したいのです。
法事などの大切な日にどうしても行けないときは、遅れて行くのではなく前もって行っておく。これが昔から日本人の誠意の表し方だったのではないでしょうか。
この点でも小泉さんの判断は適切だったと思います。
もし、終戦記念日に参拝を断行したら、中国や韓国の反発は格段に激しいものになるのは間違いありません。
これに加えて私は、アメリカやヨーロッパの反応も心配していました。
サンフランシスコ講和条約で日本は、A級戦犯の戦争責任を認めた東京裁判を受け入れました。
国際社会への復帰。めざましい戦後の復興。未曾有の経済的な繁栄。
すべて、サンフランシスコ講和条約とともに手にした、自由と民主主義のもとに始まったのです。
にもかかわらず、国の最高指導者が終戦記念日に、A級戦犯が合祀されている靖国を参拝したら、どうなるでしょう。
A級戦犯の名誉を回復させるという印象をもたれても仕方がないのではないでしょうか。それは、サンフランシスコ体制そのものを否定してしまうことにもなりかねないのです。
そうなれば、これまで静観していたアメリカも、非難の声をあげてくる心配があります。
実際、すでにクリントン政権で国防次官補として日米安保問題を担当したジョセフ・ナイ ハーバード大学行政大学院長は、8月12日付の朝日新聞のインタビュー記事で、
「首相の靖国参拝について、多くの米国人は当惑している」と語っています。
また、サンフランシスコ講和条約で一度受け入れたことを、日本が50年経ってくつがえそうとしているとの誤解を与えることも懸念されます。
「日本は約束をたがえる国だ」
「日本人は信用できない民族だ」
諸外国からこうした烙印を押されることにもなりかねません。
もう一つ厄介な問題があります。
いったい誰に戦争責任があったのか、まったなしに問い直さざるを得なくなることです。
しかも、今度は日本人自身の手で答えを出さなければなりません。
太平洋戦争については、国民全体で責任を負うべきだという考え方もあります。
一方、天皇に戦争責任があったという人もいるでしょう。
いずれにしても、真正面からこうした議論に冷静かつ合理的に取り組める土壌は、今の日本にはまだ醸成されていないのではないでしょうか。
私は太平洋戦争の評価はいずれ歴史が下すべきだと考えます。ただ、それにはあと、30年から40年はかかるのではないでしょうか。
終戦記念日を避けたといっても、13日の参拝に対し、韓国や中国から反発の声があがっています。これに対し、小泉さんを中心に日本政府は誤解を解くよう懸命に努力しなければなりません。そして、近隣諸国とより一層よい関係を築けるよう期待しています。
今、国民が最も小泉さんに求めているのは、構造改革を断行することです。
そのためには、外交問題をことさら、こじらせることは得策ではありません。国内問題に取り組む時間と力がそがれるためです。
小泉さんには、まったなしで構造改革に全力を尽くしてほしいのです。
もちろん、私も一層、力強く小泉さんを支えていきます。
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