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加藤紘一からのメッセージ 2001年1月5日


人工眼

今回の、平成13年度の予算原案の中に、私にとって小さな予算ですが、嬉しい項目がありました。それは、人工眼の研究予算です。新年1月3日の毎日新聞一面 トップ に大きく取り上げられていた記事をご覧になった方もおられると思います。眼の不自由な人に光を与えられれば、ということをここ1〜2年、私は考えていました。講演でも幾度となく述べてきました(【注】参照)。自分自身が自由民主党のライフサイエンス議員連盟の会長をしているという関係で、いろいろなバイオ関係の勉強をするようになりましたけれども、その過程で、知り合いの眼科医さんからこれから高齢化社会で年齢と共に視力・聴力が落ちて行く人が多くなる中で、充実した生活をしていく為に、感覚器の障害を取り除く研究をもっと国で進めて欲しいという要請をもらいました。  

その中の一つが、視力障害克服の問題です。そういう人たちと、何度も何度も話をしているうちに現代の医学、特にこれからのバイオの発展を考えると、視力障害になった人に、または先天的な障害を持つ人に光を与えるということは、必ずしも不可能ではないということを知りました。  

視力に障害がある場合、第一に角膜ですが、これは最近、アイバンク等の整備で角膜移植が頻繁に行われるようになりかなり克服され、また、再生医療という角膜そのものをバイオの技術で造り上げていくという方法が研究されています。  

第二に、網膜そのものが傷んでしまう場合ですが、そのときには、アメリカの大学やベンチャービジネスでは、傷んだ網膜のところに小さなチップを埋め込み、または敷き詰めて光を感じたものをそのまま視神経に伝えるという研究がされています。  

そして、最後に第三の段階はいわゆる胚性幹細胞という、人間のすべての組織のもととなる細胞を使って、視神経や網膜さえも造ってしまおうという研究です。この研究はいま、日本では理化学研究所や京大などで行われています。

これら三つの研究の中で、今回新たに予算が付いたのは二番目の研究、つまり網膜が機能不全になった場合、そこに光学的なチップを埋め込み、光を電気信号に変える研究です。昨年の秋、私が通 産省工業技術院や厚生省の方々に話しかけ、その人たちが大変な熱意と努力を持って、各種大学や先端企業などと話し合い、一つの研究スキームができ、予算要求にぎりぎり間に合わせていただいたものです。幸いにして、通 産 ・厚生両省合わせて約4億円近い研究費が認められました。

近い将来、日本に行けば、視力障害の人に光を与えることができる、また世界中の視力障害の人にどうぞ日本に来てみてください、日本の医学・技術は皆さんに光を与えることができます、と言い切れる日が1日でも早く来て欲しいと思います。


【注】当ホームページの対談・講演・論文コーナーの2000年10月4日付け内外情勢調査会主催講演「21世紀を迎える我が国の政治のあり方」をご参照ください。

 

(2001年1月5日)

 


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