【加藤紘一】 時局を読む「加藤紘一からのメッセージ~11月25日~」

加藤紘一です。

まず、皆さんへの説明が遅れたことを心からお詫び申し上げなければいけません。「内閣不信任案に賛成する」と言っておきながら、皆さんへの約束を果 たせず、本会議欠席という選択を下さざるを得なかったときに、最初に私の脳裏に浮かんだのは、1分、1秒でも早く、私たちを応援してくれた皆さんに、きちっと説明しなければならないということでした。それなのに、今日まで報告が遅れたのは、どんなに事情を説明しても、皆さんへの約束を果たせなかったことに変わりはないという思いがあったからです。それに私自身、あの選択が正しかったかどうか悩み続けていたからです。さらに「次」へ向けての私の気持ちの整理がつかないうちに、お詫びを申し上げるだけでは、ますます皆さんへの期待を裏切ることになると思ったからです。

苦渋の選択から6日、正直なところ、まだ自分の気持ちがきちっと整理できたわけではありません。でも、約束を果たさなかった私を責めるたくさんのメールの後、それでもくじけずに日本の政治を変えて欲しいという励ましのメールが数多く寄せられました。意外でした。しかし、これは私にとってエネルギーになります。そんなご期待に応えるためにも、今の時点での私の気持ちをきちっと報告したいと思います。

まず、今回の失敗の最大の原因が私たちの準備不足にあったことを率直に認めざるを得ません。途中までは、間違いなく不信任案を可決させる人数を確保できると確信していました。それどころか「今の政治でいいのか」という私たちの訴えはきっと多くの議員の心を揺さぶっているはずだという期待もありました。だから小手先の手法は用いず、私たちの訴えを理解していただくことに全力を挙げました。ところが主流派の切り崩しは私たちの予想をはるかに超えるほど厳しく、採決の日の夕刻に不信任案可決の見通 しはかなり厳しくなっていました。

その時点で、私に3つの選択がありました。一つは、不信任案否決を覚悟で、同志の皆さんと本会議に出席し、不信任案に賛成票を投ずる。2つ目は、可決の見込みが無い以上、同志は本会議を欠席し、私と山崎拓さんだけが本会議に出て不信任案に賛成して、国民の皆さんへの約束だけは果たす。第3は同志とそろって欠席する、の3つです。最後まで迷ったのは、不信任案に賛成票を投ずることが手段なのか、目的なのかということでした。

賛成に回って否決されれば、多くの同志を苦しい立場に追い込むことは明らかでした。もとより最後まで私を支持してくれた同志の皆さんは、そんな苦しい立場をみじんも表しませんでした。それどころか「破れてもいい。信念を貫こう」と私を励ましてくれました。だが不信任案が否決された後の展望を考えれば、リーダーとしては、同志の「その先」も考えなければなりませんでした。

それに国民の皆さんの期待が私たちのいさぎ良い行動にあるのではなく、日本の政治を変えて欲しいという一点にあるのだと言うことは、皆さんからお寄せいただいた多くのメールでも明らかでした。だから私は「約束を果たさなかった」という非難を覚悟で、「政治を変える。日本を変える」という原点に立って同志と共に本会議を欠席するという選択をしました。

力を蓄え、次の機会を待つという今度の選択が多くの人たちに失望を与えたことは、私の心の中に今なお大きな痛みとなって残っています。多くの皆さんが、不信任案が可決されることを望み、万が一可決できなくても、私とその同志だけは不信任案に賛成することを期待していたのではないかと思います。私自身、不信任案の可否にかかわらず、とにかく議場に乗り込んで賛成票を投じたいという気持ちに何度も駆り立てられました。

でも、惨めさに耐え、変革の芽を残すことこそ私に課せられた使命だと考えたのです。もちろん「破れても、国民の支持があれば次の局面が開けたはずだ」という意見は心にずしんと響きます。それに私に寄せられたたくさんのメールは、この国の政治が、政治風土が確実に変わりつつあることを私たちに実感させてくれました。私はこの国民の力を信じます。この期待に応えていくことが、これからの私の政治行動の原点だと思っています。結局、私たちの選択の正しさは、私たちのこれからの行動でしか証明できないと思っています。私たちの目標は、あくまでこの国の政治を変えようということです。残念なのは、今回ほとんど政策論争を盛り上げられずに終わってしまたということです。今後はもっと政策論争に重点を置いて、大胆な経済政策や日本独自の外交政策を訴えて行くつもりです。同志と共に実践的な政策論争を続けながら、力を蓄え、明日の日本を創る努力を続けていく覚悟です。十字架を背負って再出発する私たちに、どうかこれからも励ましと提言をお寄せください。また、近いうちにこのホームページでビデオ・メッセージをお伝えしたいと思います。次の行動、次の闘いはもう始まったと思っております。頑張ってこの国を変えていきたい、その初志は決して曲げることなく頑張っていきます。よろしくお願いします。